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せつな「・・・・・・」 美希 「・・・ん・・・」 せつな「・・・・・・」 美希 「んん・・・」 せつな「ふふっ」 美希 「・・・何よ」 せつな「美希、可愛い」 美希 「それはどうも」 せつな「何を怒ってるの?」 美希 「何も怒ってません」 せつな「綺麗、って言ってあげればよかった?」 美希 「そうですね」 せつな「可愛いから可愛いって言ってるの ふふ、もうほっぺたこんなに真っ赤」 美希 「(突っつくなって) んもう! 昨日顔をトマトみたいにしてた子に言われなくないって!」 せつな「・・・・・・」 美希 「・・・!! ちょっ・・・! こらっ!!」 7-279は二人の情事を描いてます(18禁閲覧注意)
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小さな土鍋の中が、くつくつと煮えている。 卵を回し入れ、軽く混ぜる。 刻んだネギと海苔を散らす。 「これでいいですか?」 「バッチリよ。せつなちゃん上手じゃない」 めずらしくラブが熱を出したので、 お母さんに教えてもらって、卵雑炊を作った。 土鍋と器を盆にのせ、ラブの部屋に入る。 「ラブ、ご飯食べる?」 「うーん...あんまり食欲ないかな...」 「私が作ってみたんだけど...」 「えっ?嘘!今の嘘!あー何かお腹すいちゃったー!」 額に濡れタオルを乗せ、辛そうにしていた ラブの声が1オクターブ以上あがる。 「ふーふーして!」 起きる気配も見せず、きらきらした目で私を見る。 食べさせてもらう気満々だ。これが目的か。 「はいはい、わかったわ」 スプーンですくい、2、3度息を吹きかけてから ラブの口に運ぶ。 「んー、おいしいーん」 満面の笑みで、ラブが口をもぐもぐさせる。 この笑顔を見ていると、多少のわがままも 許せてしまう。 残暑も過ぎ、夜は過ごしやすくなった。 開けた窓の外から、小さく虫の声が聞こえている。 ゆっくりと、ラブにスプーンを運ぶ。 静かで、穏やかな時間。 「にははー、風邪ひいて良かった。 せつなの笑顔ひとり占めだよ」 「そんなこと言ってないで、早く治してね。 明日は一緒に洋服を見に行く約束でしょ。」 顔を上げ、部屋の鏡を見てみる。 鏡の中の私の顔は、あのときのラブの顔に よく似ていた。 ...... スタジアムの医務室で、私が目を覚ましたときに そこにあったラブの顔。 全てを受け止め、包み込んでくれるような その笑顔を見て、闇の底に封じ込めていた 私の本当の気持ちが、抑えきれないほどに 動き出すのを感じていた。 次の瞬間、闇が、心を縛る。 あの時の私は、ラブがくれた水を払いのけ、 医務室を飛び出し、自棄のように 最後のカードを天井に向けて放った。 死んでもいい。 どうなってもいい。 死ぬなんて嫌。 ラブとお別れなんて、嫌。 ふたつの思いが、音を立てて交錯する。 心に、体に、激痛が走る。 心の激痛は涙になり、 ナキサケーベの力は増大する。 増大した力は棘となり、 さらなる激痛として私に襲いかかる。 なすすべなく、蝕まれる。 そんな闇の底に、ラブは両手を拡げ、 再びあの笑顔で舞い降りてきてくれた。 ...... 風邪薬を飲ませ、電気を消して ベッドの横に座る。 布団の中に手を入れ、ラブの手を握る。 「寝るまで、こうしててあげる」 「うん。ありがと、せつな。」 薬が効いたのか、ほどなく ラブの規則正しい寝息が聞こえてきた。 薄闇の中、もう一度、鏡の中の私を見る。 大切な人を見つめるときって こんな表情になるんだね。 私は、しばらくラブの寝顔を見つめた後、 ラブの夢にこの想いが伝わるように、 こっそり口づけをした。 3-33はラブ視点です。どうぞ!
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レス番号 作品名 作者 補足 避2-492 『かれんだーぼいす(1月1日~10日分)』 夏希◆JIBDaXNP.g かれんだーぼいすから広がる二次創作小ネタ!クローバーの物語はまだまだ続くよ! 避2-532 『かれんだーぼいす(1月11日~20日分)』 夏希◆JIBDaXNP.g 二回目、十日分の更新です。いろんなキャラクターが出ますよ。オールスターですw 避2-545 『かれんだーぼいす(1月21日~31日分)』 夏希◆JIBDaXNP.g 今月分終了なんか…そんな殺生なっ!わての出番あるからみんな読んでや~(タルト 避2-573 『かれんだーぼいす(2月1日~10日分)』 夏希◆JIBDaXNP.g 鬼は外ー!!!二月は我々もはしゃぐのだー!あったかい話が待ってるぞー!(西隼人 避2-591 『かれんだーぼいす(2月11日~20日分)』 夏希◆JIBDaXNP.g おじさん器用だからさ、何でも出来ちゃうんだよねっグハ!バレンタインデーもあるよん(カオル 避2-631 『かれんだーぼいす(2月21日~28日分)』 夏希◆JIBDaXNP.g アタシのキャラって最近崩れてるわよね。け、計算よ!誰がいじられキャ…(美希 避2-635 『かれんだーぼいす(3月1日~10日分)』 夏希◆JIBDaXNP.g 春が近づいてきたよー!あたしのラッキカラーはピンク!読めばほっくほくの幸せゲットだよっ(ラブ 避2-648 『かれんだーぼいす(3月11日~20日分)』 夏希◆JIBDaXNP.g 色々慣れてきたんですけど。私の周りって妙に騒がしいと言うか…。嫌いじゃないですけど(せつな 避2-662 『かれんだーぼいす(3月21日~31日分)』 夏希◆JIBDaXNP.g みんなかわいい!ここに出てくる人たちってみんなかわいい。これだけ言ってるんだから、読んでくれるってわたし信じてる(祈里 避2-676 『かれんだーぼいす(4月1日~10日分)』 夏希◆JIBDaXNP.g (4月9日)祈里のつぶやき。でも、いつか美希ちゃんは世界のトップモデルになるって、わたしたちみんな、信じてる! 避2-688 『かれんだーぼいす(4月11日~20日分)』 夏希◆JIBDaXNP.g (4月19日)あゆみ「二人とも~。口ばっかりじゃなくて、言ったからにはちゃんと作りなさい!」ラ・せ「ええ~!!」 避2-706 『かれんだーぼいす(4月21日~30日分)』 夏希◆JIBDaXNP.g (4月22日)ラブのつぶやき。いつも美希たんばっかりいじってるせつなって、実はシフォンと似てるのかな? 避2-710 『かれんだーぼいす(5月1日~10日分)』 夏希◆JIBDaXNP.g (5月6日)せつなのつぶやき。タルト!いくらスイーツ王国の王子だからって、人のスイーツ勝手に食べたら許さないわよ。私はそんなに甘くないんだから! 避2-724 『かれんだーぼいす(5月11日~20日分)』 夏希◆JIBDaXNP.g (5月16日)タルト「そもそも、オープニングの大半を爆走している主人公って、ピーチはんだけやで。」ラブ「好きでやってるんじゃないよ~!」 新-003 『かれんだーぼいす(5月21日~31日分)』 夏希◆JIBDaXNP.g (5月23日)美希のつぶやき。ラブ、笑顔でブルンにお礼言わないでよ。ブッキー、涙目になるんじゃないの。せつなっ!なんで笑ってるのよっ! 新-059 『かれんだーぼいす(6月1日~10日分)』 夏希◆JIBDaXNP.g (6月3日)祈里のつぶやき。ラブちゃん、身長は負けてないけど、勝ってもいないと思う…。 新-075 『かれんだーぼいす(6月11日~20日分)』 夏希◆JIBDaXNP.g (6月19日)尚子のつぶやき。はぁ~。お父さんにダイエットしてだなんて、無理な相談ね…。 新-129 『かれんだーぼいす(6月21日~30日分)』 夏希◆JIBDaXNP.g (6月25日)カオルちゃんのつぶやき。おかげでオジサン、財布の中身にはすぐにバイバイしちゃうんだけどね…ぐはっ! 新-151 『かれんだーぼいす(7月1日~10日分)』 夏希◆JIBDaXNP.g (7月7日)祈里「せつなちゃん。短冊って、結ぶんじゃなくて、吊るすのよ。おみくじじゃないんだから。」ラブ「ひょっとして…見られたくないようなこと書いたの?せつな。」 新-204 『かれんだーぼいす(7月11日~20日分)』 夏希◆JIBDaXNP.g (7月16日)祈里のつぶやき。ラブちゃん、せつなちゃん…その分じゃ、アイス、すぐに溶けちゃうと思うんだけど…。 新-206 『かれんだーぼいす(7月21日~31日分)』 夏希◆JIBDaXNP.g (7月30日)ラブのつぶやき。大丈夫だよっ!今日描いた朝顔だって、きっと5年後、10年後には、すっごく大切な「あの頃の思い出」だよ。 新-269 『かれんだーぼいす(8月1日~10日分)』 夏希◆JIBDaXNP.g (8月10日)カオルちゃんのつぶやき。オジサン、弱点と逆転には強いんだよねぇ。バク転は出来ないけど~。グハッ! 新-286 『かれんだーぼいす(8月11日~20日分)』 夏希◆JIBDaXNP.g (8月12日)ウエスター参上!鍛えろ鍛えろー!!夏は汗流してとにかく暴れるんだー!!!勉強が何だってんだぁ~ 新-292 『かれんだーぼいす(8月21日~31日分)』 夏希◆JIBDaXNP.g (8月31日)サウラーのつぶやき。フッ、気が合わないね。僕にとっては、君が抜かした秋こそが、楽しい秋なんだが・・・。まぁ、カオルちゃんの秋限定ドーナツが美味しいことは、僕も認めるよ。 新-323 『かれんだーぼいす(9月1日~10日分)』 夏希◆JIBDaXNP.g (9月6日)食いしんぼのつぶやき。タルト「まだあるで~カオルはんのマロンドーナツが登場したら秋や!」ラブ「あとあと、果物屋さんに梨が並んだら」美希「もうこの二人は放っときましょ」 新-361 『かれんだーぼいす(9月11日~20日分)』 夏希◆JIBDaXNP.g (9月13日)ウエスター「昔から頑張ってたが、それを口に出すイースじゃなかったな」サウラー「ある意味、自分の限界を示す言葉だしね。それが言える程いい仲間に出会えたって事かな」ウエスター「…ちょっと悔しいな」 新-386 『かれんだーぼいす(9月21日~30日分)』 夏希◆JIBDaXNP.g (9月27日)タルトのつぶやき。大丈夫や、ベリーはん。わいなんて、まだ一度もシフォンに名前呼んでもろてないんやで。シフォンにとっては空気のように、居るのが当たり前の存在だからやと、自分を慰めてるわ…ううっ! 新-441 『かれんだーぼいす(10月1日~10日分)』 夏希◆JIBDaXNP.g (10月2日)美希のつぶやき。ちょっと待って。白雪姫は、王子様のキスで目覚めるのよね…。ヤダ、ブッキーったら。と、特別出演なんて、しないからね! 新-477 『かれんだーぼいす(10月11日~20日分)』 夏希◆JIBDaXNP.g (10月16日)ラブのつぶやき。うん!今だって、せつなの作るコロッケは、お母さんとおんなじ味だよ! 新-506 『かれんだーぼいす(10月21日~31日分)』 夏希◆JIBDaXNP.g (10月31日)美希のつぶやき。うーん、何だか今年はものすごい量のお菓子が集まったんだけど・・・。もしかして、同情されたのかしら。 新-540 『かれんだーぼいす(11月1日~10日分)』 夏希◆JIBDaXNP.g (11月1日)長老と美希のつぶやき。「お前がわからんことだらけなんとちゃうか?タルト。お〜、マドモワゼル!キミの瞳こそ神秘の泉や〜」「やっぱりこの長老にして、この王子ありよね・・・」 新-575 『かれんだーぼいす(11月11日~20日分)』 夏希◆JIBDaXNP.g (11月19日)あゆみと圭太郎のつぶやき。「お父さん?どうして廊下でうろうろしてるの?」「いやぁ…今僕らが入ると、部屋の中のあったかい空気が逃げちゃわないか、心配でね」 新-597 『かれんだーぼいす(11月21日~30日分)』 夏希◆JIBDaXNP.g (11月27日)タルトとラブのつぶやき。「ピーチはん、ワイも手伝うわ。味見要員ってことで、どないやろか?」「タルト~。クッキーは焼き上がるまで、味見出来ないんだってば」 新-614 『かれんだーぼいす(12月1日~10日分)』 夏希◆JIBDaXNP.g (12月8日)祈里とタルトのつぶやき。「はい。タルトちゃんも、シフォンちゃん抱っこしてみる?」「あ…ワイ、抱っこされる方やのうて、する方に入っとるん?それも複雑やな…」 新-621 『かれんだーぼいす(12月11日~20日分)』 夏希◆JIBDaXNP.g (12月18日)ミユキのつぶやき。雲の上なんかじゃないわ。自分の力で一歩一歩階段を上った先にあるのが、本気の幸せよ。私たちもまだその途中。一緒に上るわよっ! 新-742 『かれんだーぼいす(12月21日~31日分)』 夏希◆JIBDaXNP.g (12月30日)せつなのつぶやき。良いこと悪いことっていうのは後からわかるんだろうけど、楽しいことや嬉しいことも、悲しいことや辛いことも、みんなで一緒に、精一杯がんばって進みたいわ。
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ラブ「せつな、愛してる…」 せつな「愛してるってどういう意味なの?」 ラブ「大好きってことだよ」 せつな「わかったわ」 ◇◇◇◇◇ 美希「せつな、髪が跳ねてるから直したげる。――――――はい、おしまい。完璧よ!」 せつな「ありがとう美希。愛してるわ」 美希「!?」(いきなりっ) ◇◇◇◇◇ 祈里「せつなちゃん、練習着がほつれてるよ!今直すね。――――――はいどうぞ!」 せつな「ありがとうブッキー、愛してるわ」 祈里「えッ」(やだ…) ◇◇◇◇◇ 美希&祈里「は~~…」 ラブ「どしたの?ふたりとも、ため息なんかついて」 せつな「遅くなってごめんなさい」 ラブ「せつなの好きなドーナツ、取っといたよ!」 せつな「ありがとうラブ、愛してるわ」 美希&祈里(誰でも言ってるの!?)
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「ねぇねぇ!コワイ話しようよ、コワイ話!」 「何よラブ、突然」 「まあ夏の風物詩だものね。いいんじゃないかな?」 「ふうぶつし……?」 「あ、えーと、お決まりみたいなものよ、せつなちゃん」 「お決まり……ルールみたいな物?こちらの世界にはおかしなルールがあるのね……あ、でも怖い話と言えば…」 「ななな何!?何かあったの、せつな!?」 「美希ちゃん…物凄く震えてるけど……」 「ええ……実はね、こないだの事なんだけど…部屋で寝てる時、ふと違和感を感じて目を覚ましたら、私以外には誰もいない筈なのに、人の気配がしたの……」 「えっ!?詳しく聞かせて聞かせて!」 「ブッキーってそういう話好きなんだー、ちょっと意外ー」 「……ね、ねえ、せつな、やっぱり止め……」 「気のせいだって思って、もう一度目を閉じたんだけど、開けていた窓から生ぬるい風が吹き込んで来て……」 「お、なんか本格的になって来たよー」 「う……うう……止める気は無いのね……」 「ワクワク…!」 「突然!!柔らかい何かが私に覆い被さって来たの!!」 「ひ!と、急に大きな声出さないでよ、せつな!!」 「あれー?いつも完璧な筈の美希たんが怖がってる~?もしかして~、今のでチビっちゃ…」 ゴン! 「…それから、何が何だか分からずに、まるで金縛りにあったみたいに身動きも出来ない私の身体に、ねっとりとその何かがまとわりついて来て…」 「ね、せ、せつな、お、お願いだから、も、もう違う話を―――」 「美希ちゃん、少し静かにして!!今からいいとこなんだから!!」 「ぶ、ブッキー…」 「やーい、美希たんブッキーに怒られたー♪」 「……」 ゴン!! 「……その何かは…最初は優しくパジャマの上から触れるだけだったのに…やがてその中にまで侵入してくると…そ、その…わ、私の身体を貪るかのように激しく……」 「あれ?何か話の内容が怖い話からズレて来てない?怪談というかワイ談というか…」 「それで!?それでせつなちゃんはどうだったの!?」 「…そこからはあまり覚えてないんだけど…恐怖と…そ、それと感じたような事もない、き、気持ち良さから気を失っちゃって…気がついたらパジャマも脱がされて裸同然のあられもない姿で、朝になってたのよ…」 「……なんか何があったか大体予測できたわよ…ラブ!」 ゴン!!! 「い、痛ー…な、何!?美希たんいきなり!?今度はあたし何も言ってないでしょ!?」 「何、じゃないわよ!単にアンタがせつなの部屋に忍び込んでイタズラしたって話じゃないの!!」 「は、はあ!?あ、あたしそんな事してないよ!!大体、イタズラしたきゃ普通にするもん!!」 「ラブ…それも威張れたような事じゃないわ……でも、確かにあれはラブじゃなかったと思う…ラブなら…そ、その…私が分からない筈ないもの…か、触る感触とか癖とかで……」 「ホラやっぱり~。それにあたしなら、朝になったりしても止めないもんね。美希たん謝ってよ!?」 「何偉そうに言ってるのよ!!アンタのそんな生々しい話なんかどうでもいいの!!……で、でも待って……ら、ラブじゃないとすると…や、やっぱり……」 「うふふ……」 「?ブッキー、どうして笑ってるの?私の話どこかおかしかった?」 「ううん!た、ただ、気持ち良かったか聞く訳にもいかなかったから安心……じゃなくて、わ、悪いお化けじゃなかったんじゃないかなって!最初は強張ってたせつなちゃんの身体から力が抜けていったから、そうじゃないかとは思って……こ、コホン。きっといいお化けさんだったのよ!!その人!!」 (ね、ねえ美希たん、これって……) (……道理で興味津々で聞いてたワケよね……あ、あたしは何より……) (あ、あたしもどんなお化けより……) 「もしかしたら…またそのお化けさん、せつなちゃんのところに来るかも……楽しみにしててね?」 ((ブッキーが怖い……!!)) おしまい。
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ラブ「最近ipodお気に入りだね♪」 せつな「え!?な、何で知ってるの???」 ラブ「この桃園ラブ様はなーんでもお見通しなのだぁ~♪」 ちょっと困惑気味のせつな。どことなく頬は薄ピンク色に染まり。 ラブ「で、何聞いてるの?」 興味心身、まるで子供のようにせつなを覗き込む。 せつな「・・・。ハッピーカムカム/// 」 と小声で呟くと、そっとipodを取り出してイヤホンをラブの耳へ。 ラブ「何か照れるなぁ///」 歌声はせつなの鼓動も届けてくれた訳であり。。。
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祈里「美希ちゃん、最近元気ないね、どうしたの?」 美希「こないだ占いの館で、アタシ達悪夢の世界に送られたでしょ」 祈里「あ、うん。美希ちゃんは和くんが夢を諦める光景を見せられたんだっけ」 美希「あれ、実は違うのよ」 祈里「そうなの?」 美希「実はね…」 ―以下、美希の悪夢の世界の回想― 祈里「美希ちゃん、ごめんなさい、 …私、美希ちゃんの他に好きな人が出来ちゃったの」 美希「え、ブッキー、何言ってるのよ?好きな人って誰?」 祈里「この人なの!」 ホワイトタイガー(以下白虎)「こんにちは、お嬢さん」 美希「え゛?」 祈里「こないだ一緒にナキサケーベと戦った時にね、 すごく頼りになるというか…広い背中を持ってて魅力的だなって思って」 白虎「私も祈里さんと一緒に戦っている内に相通じ合うものを感じたのです」 祈里「…というわけで、私、ホワイトタイガーさんとお付き合いすることにしたの。 美希ちゃん、今までありがとう、 いつか美希ちゃんにはもっと素敵な彼女が出来るって、私信じてる!」 白虎「貴方が祈里さんとお付き合いしている事は聞いていましたが、 私も、自分の気持ちには嘘は付けません。申し訳ありません。 …恨むなら、私だけを恨んでください」 祈里「じゃあね、美希ちゃん」 祈里、ホワイトタイガーに跨って去る。 美希「ブッキー、待ってよ!言いたいことは山ほどあるけど… それ、好きな「人」じゃないでしょーーっ!!」 ―回想終わり― 美希「…ということがあってね」 祈里「へ、へえ、そうなんだ…ひどい夢よね、それ」 美希「ブッキー、なんで視線をアタシからそらすの」 祈里「大丈夫だよ、私、美希ちゃん一筋だから」 美希「お願いブッキー、きちんとアタシの目を見て言って」 祈里「あ、そろそろ家に戻ってお父さんのお仕事のお手伝いしないと。 今日はホワイトタイガーさんの検診の日よね」 美希「ねえブッキー、なんでそこで嬉しそうに頬を染めるの? ブッキーーーーーーーーーーッ!!」
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少女の寝ている部屋の窓が、スゥーっと音も無く開く。 夜の闇に紛れて忍び込んだのは、白いトリミングのある真っ赤な服を着て、先の尖った赤いキャップを被り、長い白髪と白いヒゲをたくわえた大男。 男は少女の寝ているベッドに近づく。ぶらさげてある、大きな大きな手作りの紙の靴下に手を伸ばそうとして―― その瞬間、ピシャリと窓のドアが閉められた。 「やはり、お前か。昼間は世話になった」 「……………………」 男は黙って少女のベッドの掛け布団を剥ぎ取る。人の姿に見えたのは、丸めた洋服で作られた人形だった。 カーテンの陰から現れた少女は、男の退路を断つかのように窓の前で身構える。 「気配が読めれば引っかからなかったはず。使い手かと思ったが、わたしの見込み違いだったか?」 「……………………」 「なんとか言ったらどうだ? 口が利けないわけではあるまい?」 「メリークリスマス」 「馬鹿にしているのかっ! まあ、いい。お前の正体を探る気はない。プレゼントも不要だ。ただ、一つだけ叶えてもらいたい願いがある」 「……………………」 「わたしを、生まれ故郷のラビリンスに帰してほしい。世界を渡る力があるなら、不可能ではないはずだ」 「……………………」 「できるのか? できないのか? 答えろっ! 返答によっては無事には帰さん!」 「……………………」 少女が凄むと、男は肩をすくめて担いだ大きな袋を投げ出した。そして、何かを取りだそうと手を差し入れる。 何らかの武器かもしれない。少女は警戒を強め、臨戦態勢に入る。 サンタクロースは、子供の欲しがるプレゼントを配る存在。願いを叶える者ではない。無理を通すためならば、一戦をも辞さない覚悟だった。 『たいへん! せつなが消えちゃった!? ~子供の頃のクリスマス~(結の章)』 「せつな! ううん、イース! 何かあったの? ここを開けて! 誰と喧嘩してるの!?」 その時、ドンドンと、少女の部屋のドアが叩かれる。ちょうど、男の立っている後ろ辺りからだった。 室内に入ろうと取っ手が回されるが、少女は部屋に鍵を掛けていた。伝承の通りなら、サンタクロースは煙突を通るはず。この家の場合、窓側から訪れると予想したためだった。 その呼びかけに反応するかのように、新たな足音が聞こえて来る。激しい勢いで階段を駆け上る男の足音。この家の主人の桃園圭太郎だろう。 「イースちゃん! 何かあったのか! 今、助けるからな!」 「よせっ! 来るなッ!」 少女の制止の声も聞かず、圭太郎らしき人物は扉に体当たりを仕掛ける。ドスン、ドスン、ドスンと部屋が揺れて、三回目にして扉の鍵が弾け飛んだ。 転がり込むように、部屋に飛び込んでくる圭太郎とラブ。圭太郎もまた、サンタクロースの格好をしていた。 もっとも、今はニセモノに構っている暇はなかった。 「あなた……誰?」 「お前は一体何者だ!? 僕の娘に何の用だ! 出ていけっ!」 「あなたっ! 泥棒なのっ?」 「……………………」 さらに、あゆみまでもが駆けつける。窓際に立つ少女と、部屋の真ん中に位置するサンタクロース。そして、ドアの前に立ちはだかる三人。 意図していたサンタクロースの捕獲には好都合だが、世話になった彼らを巻き込みたくはなかった。 面倒なことになったと、少女は顔をしかめる。 「お前たちこそ、なにを言っている? 服装といい、出現するタイミングといい、こいつがサンタクロースに間違いない。そちらこそ出て行け! わたしの願いの邪魔をするな!」 両側の出口を塞がれ、ようやく観念したのか、サンタクロースは重い口を開いた。 「ラビリンスか? 帰って何をする? もう、お前の求める者はそこには居ない」 「黙れっ! それを確かめるために、帰りたいのだ!」 「帰れば、二度とこの街には戻れない。それでも望むなら、連れて行ってやろう」 「構わな――」 「ダメよ! 行かせないわ! 絶対にっ!」 少女の声を遮って、あゆみが飛び出す。男を迂回して、少女の前に、まるで通せんぼするかのように立ちはだかった。 「どけ! これは――わたしが望んだことだ」 あゆみはイヤイヤをするように大きく首を振って、拒絶の意を表す。 「待って! あなた、隼人さんなんでしょ? どうしてこんな回りくどいことするの?」 ラブもたまらずに叫ぶ。せつなをラビリンスに連れて帰るのが目的なら、こんなことをしなくたって、子供に戻したりしなくたって―― 帰って来いと、ハッキリそう言えばせつなは拒まないはずだった。 「すまないが、連れて行かせるわけにはいかない。その子は、僕らの娘のせっちゃんだからね」 「そうよ、この子はわたしの娘、せっちゃんなんだから!」 ラブは驚きのあまり息を呑む。自分としては上手く誤魔化せているつもりだった。 「おとうさん……おかあさん……いつから気付いてたの?」 「最初にこの子を見た時からよ。いくら幼くなったからって、自分の娘を見間違えるものですか!」 「人間が動物と入れ替わったこともあったな。不思議な出来事には慣れてるよ。このくらいで驚きはしない!」 サンタクロースは三人には構わず、少女に対して語りかける。 「もう一度問おう。帰れば、もう二度とこの街には戻れない。それでも望むのか?」 「どうやって、わたしにそれを強制する気だ? 国に戻れば、お前の力を借りなくてもこの世界に来る手段などいくらでもある」 「簡単なことだ。この街に関する、お前の記憶を奪うだけのこと。さあ、どうする?」 「せつなっ!」 「「せっちゃん!!」」 「……一つだけ、聞かせてくれ。メビウス様は、本当にお亡くなりになられたのか?」 「ああ……最後は自爆だった。ラビリンスは今、この街のように自由で豊かな国を目指している。お前も――来るか?」 「――――行け。わたしは……ここに残る」 その返事を聞いて、サンタクロースは満足そうに頷いた。 「いい子だ、そんな子にはプレゼントをやらないとな。俺からは美味いドーナツ。そして、駄菓子屋の婆さんとサッカー少年からの贈り物だ。受け取れ!」 少女は、投げつけられた白い袋をキャッチする。そしてサンタクロースは、そのまま脇を通り過ぎて、窓の外に勢いよく身を投げ出した。 事情が呑み込めない圭太郎とあゆみは、ただ無事に済んだことを知って、腰が砕けてその場に座り込んでしまった。 少女はすぐに窓の外を覗いたが、サンタクロースの姿はどこにも見えなかった。 「もう、せつなでいいよね? 何をもらったの?」 「これは……」 それは、紙袋に入ったドーナツと、赤いオモチャの靴にたくさん詰められたお菓子と、新品のサッカーボールだった。 赤いブーツにはクリスマスカードが挟んであった。そしてサッカーボールには、マジックで直接メッセージが書き込まれていた。 「またおいで。今度はお茶くらい淹れてあげるよ」 「これあげる。みんなのお小遣いで買ったんだ。また遊ぼうね! イース」 少女はラブには答えず、靴に入ったお菓子と、サッカーボールを両手で抱きしめて震えだした。 ラブも黙って、そんな少女を抱き寄せた。 少し経って、落ち着いた圭太郎とあゆみも、少女の側までやってくる。 圭太郎は、背中に担いだ大きな白い袋から、綺麗に包装された箱を取り出した。 「本当は、サンタクロースに成りすまして渡したかったんだけどな」 「これは?」 「わたしたちからの、せっちゃんへのクリスマスプレゼントよ」 少女は丁寧に包装紙を剥がし、箱の中身を取り出す。 それは、ウサギに似た格好のヌイグルミだった。 「あ~っ! これってウサピョンの!」 「ええ、そうよ。昔、ラブが好きだったヌイグルミの、仲良しの姉妹ね」 「もうじき高校生のせっちゃんに、ヌイグルミはどうかと思ったんだが……。今だからこそ、持っていてもらいたかったんだ」 楽しく過ごせなかったせつなの幼少期の思い出を、少しでも取り戻してあげたい。それは――そんな圭太郎とあゆみの願いだった。 「もし……違っていたら? わたしは本当に違う子供で、おじさまたちの知る、せつなじゃなかったとしたら?」 震える声で、少女は恐る恐る尋ねる。もう、自分が幼児化したせつなであることは受け入れていた。 だけど、もし違っていたら? 何かの間違いであったなら? こうして向けられる愛情も、全て失ってしまうかもしれないと。 「それなら心配いらない」 「その時はね、家に三人目の娘ができるだけよ」 一瞬の迷いも躊躇いもなく、少女に返される愛ある言葉。それが最後だった―― どんなに強がったところで、彼女は幼い子供だった。ついに我慢の限界を超えたのか、涙が堰を切ったように流れだす。 「――ッ……ぁぁああ!!」 まるで叫ぶように、少女はあゆみにしがみ付いて泣いた。 身体を大きく震わせて、大粒の涙をこぼしながら、わんわんと大声を上げながら……。 せつなの涙なら、ここにいる全員が見たことがあった。 だけどこんな風に、何もかもかなぐり捨てて泣く姿を――三人は初めて目にしたのだった。 それからしばらくして、あゆみがラブに問いかける。 「それで、せっちゃんは元に戻らないの? ずっとこのままってことは……」 「えっと、あの、あたしもよくわからなくて……。今まではナケワメーケを倒したら元に戻ったけど、今回はそうじゃないし……」 「それなら、心配いらない」 「戻れるのかい? せっちゃん」 「ラビリンスの科学技術でも、人間を若返らせる力はない。時間が経てば、効果は切れると思う」 「そう、なら良かった」 「良くないっ!」 安堵のため息を付く三人に、少女が反発の声を上げた。 「わたしは、せつなだった記憶を持っていない。元に戻ったら、その記憶は戻るかもしれないけど――」 「そっか……。今のせつなの記憶は、なくなっちゃうかもしれないんだね」 たった一日。だけど、大切な一日だった。身体を小さくして震える少女を前に、ラブとあゆみは困った表情で顔を見合わせる。 そんな中、圭太郎が少女の肩に手を置いて語りかけた。 「これは、ラブには話したことがあるんだが、どうして僕がこんな格好をしているかわかるかい?」 「サンタクロースの……真似?」 今の男が何者だったのかは知らないが、サンタクロースではないだろう。あれは伝承の人物であり、実際に会うことは叶わないもの。 圭太郎はそれを説明する。それでも、大人がサンタクロースに成りすますのは―― 「子供に夢を持って欲しいからだよ。そして、夢と愛を信じて育って、それを広げていける優しい大人になってほしいからだ」 「だったら、それを知らずに育ったわたしは……優しい大人ではなかった?」 「優しかったさ」 「本当よ。せっちゃんは優しい子。それこそ、ラブにだって負けないくらいに」 圭太郎とあゆみは、交互に話して聞かせる。せっちゃんがどんなに良い子だったのか。自分たちが、どれほどその子を愛していたのかを。そして、今のせっちゃんも同じくらい良い子なんだって。 プレゼントをもらって、はしゃいで喜ぶ子はいても、泣いて喜んでくれる子は滅多にいない。 幸せと不幸は隣り合わせで、きっと夢や幸せを知らずに育った子だって、その痛みと寂しさを知っているから、負けないくらい優しい大人になれるはずだって。 「ウソだッ! だったら、サンタクロースなんて――いらない……」 「それでも親はね、子供には泣き顔じゃなくて、いつも笑顔でいてほしいからよ。いつか、幸せになれるとしてもね」 「わたしは――せつなに戻りたくない! 今の自分が無くなってしまうのが怖い! この気持ちを、失ってしまうのが怖い……」 駄々を捏ねたところで、ここに居る者たちにそれを叶える力は無い。それがわかっていながら、少女はワガママを言わずにはいられなかった。 いつも自分の気持ちを抑えてしまう、控え目な娘の精一杯の訴えが愛おしくて、あゆみは少女を抱く腕に力を込める。 「大丈夫よ。もし忘れてしまったとしても、今のあなたの気持ちは心のどこかに残っていて、せっちゃんをよりステキな子にしてくれるから」 「それに、僕たちは今のせっちゃんを決して忘れない」 「あたしたちが、聞かせてあげる。ちっちゃくたって、せつなはやっぱり優しくて、一生懸命で、精一杯がんばっていたって」 再び、少女は号泣する。あゆみは、泣きじゃくる少女を自分の寝室に連れて帰った。 今夜はこの子を一人にはしておけないからと。今夜しか、子供のせっちゃんの側に居られないかもしれないからって。 少女は生まれて初めて、母親に抱かれて眠るぬくもりを知った。寝るのが惜しかったはずなのに――すぐに深い眠りに落ちていった。 朝日が――昇る。 せつなは隣で眠るあゆみより、一足早く目を覚ました。 ちょうどいいサイズになったパジャマ。そこから伸びる、白くて美しいスラリとした手足。 その姿は、本来のせつなの身体だった。 「ありがとう、おかあさん。おとうさん。ラブ。そして――みんな」 せつなは、すぐ側に置いてあったサッカーボールと、お菓子の入った赤いブーツと、抱いて寝ていたヌイグルミを持って、そっと部屋を出た。 クリスマス当日の、カオルちゃんのドーナツカフェ。夕方に始まるクリスマスパーティーの最終打ち合わせに余念がないラブと、美希と祈里。 「って! 肝心のせつなが居ないじゃない!」 「あそこだよ、美希たん」 ラブが指差したのは、少し先の広場でサッカーをして遊ぶ六人の子供たちだった。 その内の一人は中学生の女の子らしく、小学生の男の子を相手に、指導を交えながら楽しそうに遊んでいた。 「今のって、まさかヒールキック!?」「姉ちゃんスゲー!」「俺にも教えてくれよ!」といった、子供たちの楽しそうな声がこちらにまで響いてきていた。 「あれって、せつなちゃん? どうしてサッカーなんて」 「色々あったんだよ」 ラブは昨日起きた出来事を、美希と祈里に詳しく話して聞かせた。 結局、せつなは幼くなっていた時の記憶を失わなかったらしい。先ほど、駄菓子屋さんも覗いて、お手伝いの約束をしたのだとか。 「そうだったの。あーでも、ラブったらズルイ! アタシも小さなせつな、見たかったなぁ」 「ごめーん。だって、呼べる雰囲気じゃなかったんだもん」 「ねえ、ラブちゃん。昨日の赤いお鼻のトナカイさんの話なんだけど、調べてみたら、実は続きがあったの」 「仲間外れにされたって話?」 「うん、最初はそうだったんだけど。サンタクロースのお手伝いをして、みんなを幸せにしたトナカイさんは、仲間に認められて幸せに暮らせるようになったんだって」 「そっか。でも、もう大丈夫だよ! せつなには、そのお話をしなくても」 「そうみたいね。今のせつなの表情は、トナカイの赤い鼻より明るいもの」 美希が冗談交じりにそう言って、三人は楽しそうに笑った。 「さあ、せつなのためにも、今夜は完璧なパーティーにするわよ」 「うん。きっと楽しんでくれるって、わたし信じてる」 「幸せ、ゲットだよ。せつな」 そんな一人と三人の少女を、さらに木陰から見守る者がいた。 「メリークリスマス、イース」 サンタクロースの衣装を纏った男は、そうつぶやいて、ゆっくりと立ち去った。
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べちゃっ ほんとにそんな擬音が聞こえてきそうなほどの勢いだった。 何もないところで、普段はきなれているはずのブーツで盛大にこけた。ヒールがついていればまだ、言い訳は出来たかもしれないのに……… 「だ、大丈夫美希!?」 せつなは慌てた様子でしゃがみ、あたしに手を差し延べる。 あたしは引き攣った笑いを浮かべながらその手をとった。 「立てる?」 「うん、へーきぃいった!」 立ち上がろうとしてよろける。倒れることは免れたが、足首に強烈な痛みがはしった。 「足くじいた?」 「………そうみたい」 あたしが情けない声でそう答えると、せつなはいきなりしゃがみ込む。 いや、せつな、それはまさか…… 「おんぶしてあげるわ」 「えぇ!?」 うれしい! うれし過ぎるけど…… 「あの、あたしとせつなじゃ体格差が」 「私なら平気よ。知ってるでしょ?」 「そうだけど……」 あたしが躊躇していると、せつなは拗ねたようで唇をとがらせた。 「もう、大丈夫だってば!」 「わかってるわよ。そうじゃなくて……人目が」 せつなは周りを見渡し溜息をついて立ち上がった。 ここは四つ葉町で一番大きい公園。今は桜の時期でお花見客でとても賑わっている。中心部から少し離れたここでも人通りは少なくない。 中学生のあたしが、しかも自分より小柄な少女におんぶされてるなんて恥ずかしいことこの上ない。 そして、 それがせつななら尚更……。 「歩けないでしょ?」 「うん……」 「美希が気にする人目もあるしアカルンは使えないわよ」 「……歩く!」 「無理よ」 「………」 ジト目でせつながあたしを見る。あたしが黙っているとまたしゃがみ込んだ。 「ほら」 「………お願いします」 あたしに選択肢はない……。 恥ずかしいのを堪えて渋々せつなの肩に手を置くと、ゆっくりあたしの脚を抱え立ち上がった。 視界がいつもより低くなる。それだけで知らない場所にいるような気になった。 「ごめんね」 「素直じゃないところがね」 くすくすとせつなが笑うから、おでこでこつんと頭突きをすると、ぴょんとジャンプされあたしは情けない声を上げた。 この小さな身体のどこにそれだけの力があるんだろう。 「安全に運んで」 「我が儘なお姫様ね」 そよそよと心地好い風が吹き、せつなは楽しそうにステップを踏む。 桜が見たいと言った彼女に相手として指名されたときは飛び上るほど嬉しかった。 「ラブとブッキーと四人でまた来ましょう」 「じゃあ明日でもよかったんじゃないの?」 せつなは何故かラブとブッキーが用事がある今日を指定した。だからあたしと二人で来ることになったのだ。四人で見たいのなら明日なら全員空いているにもかかわらず。 「今日がよかったの」 にっこり笑ってせつなはわからない?と言った。 その時 ざあっと強い風が吹いた。 「キレイ……。桜の道ね」 枝から散った桜が辺り一面に舞い、幻想的で、あたしとせつなはくぎ付けになる。 「ゆっくり、帰りましょ」 「うん」 小さな背中にあたしはきゅっと抱き着く。 「さっきから美希の鼓動が聞こえてる。どしたの?」 「うっ、わかるでしょ」 「言ってくれなきゃわからないわ」 意地悪。 そう耳元で囁くとせつなは微笑んだ。そしてもう一度あの可愛い聞き方でどして?と、 「だから、あたしは、せつなのことが―――」 終わり
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桜前線の到来、街が桃色に染まっていく。クローバータウンに最も似合う季節の訪れ。 「おとうさ~ん、おかあさ~ん、こっちこっち~」 「もう、ラブったら恥ずかしいから大声出さないで」 「張り切ってるね。ラブちゃん」 「綺麗ね。見ているだけで、こんなに幸せな気持ちになれるなんて」 ラブと先に場所取りを兼ねて四葉公園にやってきていた。ようやく合流して本格的に花見を楽 しむ。 おとうさんにお酒を注いでから、もっと近くで桜を見ようと近寄った。 「あっ……これは……」 「昨年の春に、ここで怪物が暴れたらしいのよ。その時に枝が折れちゃったのね」 お母さんが後にきていた。 よく見れば、他にも無残に枝が折れたり、無くなったりしてる樹が何本かあった。 戦いが終わっても傷跡は残る。悲しい気持ちで樹皮に手を当て、謝ろうとした。 「見て、せっちゃん。あそこ」 「折れた枝に――あれは、蕾?」 少し他より成長が遅れてはいるが、折れて曲がった枝の先にはちゃんと蕾が付いていた。 やがて花も咲くのだろう。 「ごめんね。ごめんなさい。がんばって! そして立派な花を咲かせてね」 樹に語りかけ、そっと頬を寄せた。 サーっと春風が吹きぬける。 風に舞った桜の花びらが、踊るようにみんなのもとに降りてくる。まるで幸せの嵐。 沢山の樹と無数の桜の花。それを楽しむ大勢の人。見渡す限りの笑顔は、桜にも負けないくら いに魅力的に感じられた。 「ねえ、せっちゃん。どうしてこんなに沢山の人で楽しむのかわかるかしら」 「みんなと一緒に見たほうが楽しいから?」 正解よ。そう言って私をそっと抱き寄せて、優しく髪の毛を撫でてくれた。 一輪の花びらはとても小さいのに、集まって大きな花になる。そして、儚き短い間でも、精一 杯咲き誇る。そんな姿に人々は感動を覚えるのだろう。 「覚えておいてね。喜びも楽しみも、人はそれを伝え合い、分かち合うことで、その感動をよ り大きなものに出来るの」 うん。わかってるわ。 ラブやおとうさんやおかあさんや、美希やブッキーから教わったもの。 だから、私も伝えていこう。分かち合っていこう。広げていこう。 笑顔と幸せで世界を満たすために。 「私、精一杯頑張るわ」