約 3,212,907 件
https://w.atwiki.jp/fleshyuri/pages/1014.html
「あー……」 前日の疲れは取れていなかったらしく、あたしはベッドの上でうとうとと意識を飛ばしては、意地で起き続けていた。せっかくの休みを寝て過ごすのはもったいないから。 そのうち目を閉じているあたしの側に人の気配を感じた。彼女が何事か話しかけているがあたしの意識はもうほとんど蕩けかけていて言語の意味を結んでくれない。 すると、唇に何かが触れた。 キスされてるんだなぁと感覚で理解する。無理矢理唇が開かれたのには少しムッとする。この時にはあたしは昼寝することを選択していたから。 眠いからやめて とあたしは目をつぶったまま口にしたつもりだったが、耳で聞きとれたのはふにゃふにゃと緩い言葉だけ。本人でも聞き取れないのだから彼女に通じているわけがない。 舌を絡め取られ緩く開いた口からは唾液がこぼれ落ちていく。 眠気というのはなかなかくせ者だ。この状態でもあたしに瞼を開ける力すら与えてくれない。 むしろ彼女のテクに便乗するようにあたしから力を奪っていく。 一通り堪能して満足したのか、彼女は口を離すと今度はあたしのシャツに手をかけた。 「っ―――!!」 あたしはその動作を感覚で認識するとぱちりと目を開けた。起きたの?と声をかけてきた彼女は、髪を結んでアップにしているあたしと違い、対して長さの変わらない桃色の髪を結びもせず涼しい顔をしている。 「なにするの!?」 「寝顔可愛いかったわよ」 あたしの怪訝な顔での質問をどう勘違いしたのか彼女はそんな風に答えた。そして相変わらず爽やかな笑顔であたしに跨がったまま。 「どいて?」 「嫌」 あたしのシフォンスカートから生える生脚に手を乗せ、子犬のように無邪気でそれでいて不意に妖艶な瞳を向けてくる。 「ねぇパッション、何がしたいの?」 その瞬間のパッションの笑顔を見てあたしは冷や汗をかいた。会話の間もパッションの手は脚の上にある。 「あたし、そろそろ帰ろうかしら……」 「来たばっかりなのに?」 不穏な空気を感じ取りあたしがそう口にすると、パッションは優しく頭を撫でてきた。彼女の脚はあたしの腰をがっちりホールドしていて逃がしてくれそうもない。 それでも抵抗を示そうと身体をよじろうとしたら両腕を押さえつけられる。 「ちょっ、離して!」 「セックスしましょう」 ひっとあたしは声にならない声をあげる。中学二年生の経験もないあたしがその言葉を聞き慣れているはずもなく、瞬時に顔が赤くなったのが自分でもわかった。 「せ……セックスって」 「性行為。一般的なものとは異なるかもしれないけど同性同士でも十分気持ちよくなれると思うわ。美希の場合感度が高い場所は 「違う!!セックスについて聞いてるんじゃなくてなんで今セックスって言う単語が出てくるか意味がわかんないの!!!」 セックスセックスとおよそママが聞いたら心配するだろう言葉を連呼して。一息で言い切って肩で息をするあたしを相変わらずパッションは平然と見ている。しまいにはムキになるところも可愛いとか言い出した。 「あ、あたしたちまだ中学生だし、順序ってものが……」 「お互いを好きで恋人でキスもしてるのに、他に足りないものはある」 「うっ…………じ、時間が足りない」 「時間?」 「心の準備ができてないから……」 しどろもどろに答えると、ああそういうこと、とパッションはとても軽く応えた。そしてあたしの左腕を解放する。自由になったはずの左腕を動かすこともせずあたしはなぜか身震いしてしまった。そして見事に嫌な予感は的中する。 「ひゃああぁ」 パッションが上半身を倒したかと思うと首もとにぬるっとした感触が広がる。気づけば両手を手首から彼女の右手で纏めて押さえられ、ますます身動きは困難になっていた。 「んっ……あっ、つ」 嘗めて吸って、時おり彼女は軽く歯を立て、痛くない程度にあたしに刺激を与えてきた。悔しいぐらいそれはあたしを高ぶらせていく。静かな部屋に彼女の粘液とあたしの乱れた呼吸だけが音をなす。 「ふあっ、はぁ……!…やっ!?駄目っ」 そして今まで手持ち無沙汰であっただろう左手が行動を開始する。シャツの間をあたしの肌に沿ってゆっくりと上がってきた。行き着く先を予想してあたしは今まで以上に本気の抵抗を示す。そんな抵抗をあっさりとパッションは押さえつけた。 そして左手が目的の場所にたどり着くと、彼女はそれと同時にゆっくりと顔を上げた。 「お願い……止めて」 ブラの上にあるパッションの指は今は置かれているだけで何もしてこない。今ならまだ間に合う。 「泣きそうな顔しないで。すぐ気持ちよくなるわ」 ちゅっとおでこに優しいキスが落とされる。そしてパッションの手がゆっくりとブラの中に侵入してきた。 「ん?」 「っ………!」 最悪だ あたしは瞳に涙を溜め、彼女と視線が合わないように横を向いた。彼女はそんなあたしを見てゆっくりと両手を解放する。 「気にしてたの?」 とうとうあたしは我慢できなくなって涙を流した。自由になった両手で顔を覆い、彼女の視線を遮る。 「っ―――パッションにはわかんないわよ!」 モデルはないほうがいいと言われるがそれもある程度の話。豊満な親友たちとの差を嫌でも感じ、昔のように一緒にお風呂に入らなくなった。 自然と服はごまかしがきくものを選び、下着も寄せてあげる高性能のもの。 いつかはわかることでも、彼女にだけはまだ知られたくなかった。 「美希、泣かないで」 「はやく……手どかしてよ」 消え入りそうな声で頼んでも彼女の手は一向に離れない。もう一度声をかけようとしたとき、今まで制止していた手の平があたしの胸を優しく包み込んだ。 「やっ、なに!?」 「気にすることないわ。私が気持ちよくさせてあげる」 そういうとパッションは右手で一気にシャツとブラを押し上げた。いきなり外気にさらされた肌にひくりとあたしは身震いする。 綺麗よと彼女が優しく囁いた。恥ずかしくなって服を元に戻そうとするとまた腕を絡め取られる。力ではラビリンスの特殊訓練を受けた彼女に敵うはずもなかった。 「私は美希の全てが好きよ。笑顔も怒った顔も、髪も……小さい胸も」 「今笑ったでしょ!」 「可愛いなぁって。ほどよく手の中に収まるし綺麗なピンク色で 「生々しいこと言わないで」 「心の準備、今の内にしておいた方がいいわよ」 パッションはクスリと微笑むとゆっくりと手を動かした。 「あっ、ん、んんっ」 決して私に全てを任せたわけではないけれど、上気した肌と甘い声は少なからず彼女が感じていることを私に伝えてくれる。 小さいながらもふわりと柔らかく張りのある胸は触るごとに私の指に心地好い感触をくれた。ぴんと立った可愛いらしい乳首を優しく摘むと、彼女から堪えきれない嬌声が洩れる。 「気持ちいい?」 自分自身も興奮を抑えられなくなってきていた。彼女が答えを紡ぐ前にその口を塞ぎ、胸とは違う柔らかさを堪能する。 「んんっ」 苦しそうに呻く美希を気遣ってそっと拘束していた腕を離すと、強くない力で私の肩を押して顔を引き離した。ぽたりと、彼女の顔にどちらのものかわからない唾液が落ちる。 「やっぱり、止めよう?もう少ししてからでも遅くないでしょ」 「もう……止められない」 私の甘えた声に美希がたじろぐ。自分自身こんな声が出せるのかとどこか思考の遠いところで驚いた。 「ずっと、我慢してたんだもの」 愛することを愛されることを教えてくれた存在。手の届く距離になって欲望はさらに強くなる。彼女が欲しいと身体が心が求めていた。 「私に、美希を頂戴」 「パッション……」 頬を優しく包んでキスを落とすと、今度は躊躇いながらも美希は背中に手をまわしてくれた。 存分に彼女の唇を味わって、私は全身にキスの雨を降らせる。 首に 胸に 背中に……。 胸元にあった彼女のシャツとブラジャーを焦れて乱暴に脱がすと、髪を引っ張ってしまったらしく小さく美希が恨み言を言った。今は結ばれていたはずの彼女の髪はいつものようにさらりと長さを保っている。 「あんまり見ないで……」 「嫌よ」 顔を真っ赤にして軽く睨みつけるように抗議してくる彼女は、あたしだけなの?と訴えてきた。 「脱がせてくれる?」 「あたしが?」 「他に誰がいるのよ」 美希は起き上がると私と向き合うように座った。彼女が私に手をかけようとした瞬間、私はその手をかわして彼女との距離をつめる。 「な、何?」 「下も脱がしたい」 手早く彼女のスカートを脱がし、最後の一枚に手をかける。突然のことに呆気にとられていた美希はハッとして私の手を遮った。 「やだ。パッションも脱いでくれなきゃ……」 「ああ、うん」 全然余裕がなかった。 心ない返事をして今は弊害でしかない自らの服を手早く脱ぎ捨てる。 「あ、あたしが脱がすんじゃないの?」 「今度ね」 下着を脱ぐ時間すら惜しく、ベッドの端に無造作に投げたときには美希の身体を押し倒していた。 「じゃあ、脱がすわよ」 そして、彼女の最後の一枚をとっていく。自分はすでに何も着けていないということを思いだしたのは、彼女と私の素肌が触れ合ったときだった。 「綺麗よ……美希」 生まれたままの姿の彼女は美しかった。陶磁器のようにキメが細かく白い肌。長い手足とくびれた腰は彼女がモデルをしているのも頷ける。 その身体に手を伸ばそうとしたとき、ふと視線を感じた。 「そんなに気になる?」 「だって……」 蒼い瞳は私の胸をとらえていた。 胸ばかり見られていては流石に私も先に進むのが憚られる。 少し考えてぱふっとベッドに沈んで彼女の横に並んだ。 「パッション?」 「私も気持ちよくして?」 私より少し背の高い美希の細い腰を掴んで、その身体を引き寄せた。突然のことに彼女は慌てふためいている。 「は、え、何?」 「触りたいでしょ」 「あの……」 「私も美希に触って欲しい」 それでも動揺して固まっている美希に苦笑して私は自分が動き出す。カリッと優しく突起に歯をたてると、美希が声をあげた。それが快感からくるものだと今の私には手にとるようにわかる。 「美希がしないなら、私はやりたいようにやるわよ」 今までもやりたいようにやってきたのだが、今の美希にツッコミを入れる余裕も気づく余裕もない。 名残惜しく舌で一嘗めして私はもう一度少し距離を取る。 すると全身を淡くピンク色に染めた美希は、おずおずと手を伸ばしてきた。 「んっ!?」 「おっきいね。柔らかいし……痛くない?」 「ええ……」 私は内心動揺を表に出さないようにするのに必死だった。美希が触れた場所が熱を持ったように熱くなる。大きく深呼吸をして、彼女の首元に顔を埋めた。 「ねぇ近い、見えないわ」 「見なくていい。それよりも美希に触れていたい」 声を上げそうになるのを必死に堪えて、快感にのまれそうなときは彼女の首筋を噛む。 美希は要領がいいだけあって段々と私の弱いところを探り当て刺激を与えてくる。 「もー、顔見せて。気持ちいいの?」 「っ……ん、美希、そろそろ」 一旦中断しようとした瞬間、私の恐れていたことが起こる。 お返しとばかりに美希が私の突起を口に含んだ。 「っ―――!!!」 …………不覚にも軽くイッてしまった気がする。 よくわからない敗北感にうちひしがれ荒く呼吸を繰り返す私を見て、そんな私の内心を気づくはずもなく美希は無垢な瞳で大丈夫?と聞いてきた。 蒼い髪をくしゃりと一掴みしてもう一度深呼吸。 「うん。よかったわ……美希」 「何?」 「キスして」 「あ、うん……」 彼女からキスされることなんて滅多にないことで、自分からお願いしたとはいえとても幸せな気持ちになる。 ゆっくりと顔が近づき吐息が感じられる距離にきたとき彼女はボソッと呟いた。 「エロい顔してる」 人差し指で軽く私の唇をなぞってから、ちゅと触れるだけのキス。それで満足できるはずもなく、私はかぷりと美希の鼻を甘噛みする。 「いひゃい」 「だぁめ、ちゃんとして」 うぅと唸って顔を真っ赤にして美希がもう一度キスの体制に入る。こんな風にころころと表情を変える美希を見たらラブや祈里は驚くだろうなと思う。 先ほどとは違い目を閉じて彼女は顔を近づけた。 「っっ!?」 かちんとお互いの歯が音を立てた。圧力のかかった唇がひりひりと痛むがそれは彼女も同じだろう。せめてもう少し加減してくれていたら……。 予想外の出来事に離れようとした彼女を抱き寄せ深く口づけを交わす。 舌を差し入れるといつもとは違う味に私は眉を寄せた。どうやら口を切ってしまったらしい。確かに鈍痛が口の中に広がっていく。そう思いつつ、私はさらに彼女の口内を犯していく。 一通り堪能して離れたら、美希は反射的に唇についた私の血を拭い泣きそうな顔になる。 「ごめんなさい!血がでてる」 「ドジ……やりなれてないからよ」 今度から特訓ね 耳元で優しく囁いたのに美希の顔はひきつっていた。 くっくっと堪えきれずに笑って、私は美希を仰向けにして上にいく。 きゅっとお互いの指を絡め、美希の瞳を覗き込む。 「美希、止めるなら今よ」 「パッション……」 美希は暫く不安そうな顔をしていたが、ぎゅっと私の手を握りかえしてきた。 その蒼い瞳は潤みながらもしっかりと私をとらえている。 大好きよ――― 微笑んで キスをして 私は彼女を強く抱きしめた。 ――――――――― 「怒ってるの?」 「……怒らないからとりあえずどいて欲しい」 「腰が痛くて無理」 「自業自得じゃない!」 「いろいろ試してみたかったの……」 俯せのあたしに乗っかかり、子供の猿みたいにぎゅーと抱き着いているパッション。 何も身につけていないのでしっとりとした肌が触れ合って熱を生む。 「あっつい」 「こういうとき髪長いと大変よね」 「だからどけばいいでしょ」 「ここが居心地がいいの」 どいてくれる気はさらさらないらしい……。 午前中に遊びにきたはずなのにいつの間にか太陽は沈みかけていて、時間を忘れるほど没頭していたのかと急に恥ずかしさが襲ってきた。 「顔赤いわよ?」 「なんでもないっ……あたし帰らなきゃ」 「どうやって?服はヨレヨレだけど」 あたしの服は今だ乱雑にベッド脇に置かれたまま。 気に入ってたのに。 あの状態の服を着て流石に世間は歩けない。 「アカルンで」 「残念でした。アカルンはここにいません」 かちゃかちゃとリンクルンを振って、パッションはとてもいい笑顔をしている。 「はぁ!?」 「大丈夫。あの子一人でいた時間長かったから出歩いても心配かけるようなことはしないわ」 「そうじゃなくて!あたしはどうやって帰ればいいのよ」 「わがままは駄目よ美希。おとなしく桃園家の夕食が始まるまではまったりしましょう」 「今日はあゆみさん出掛けてて夕飯遅いって言ってなかった!?」 そうね とサラッと答えたパッションに それだけ一緒にいられるから と優しく頬にキスをされた。 「…………今日は七夕だし、天の川くらいは一緒に見ようかな」 「ええ」 「そういえば玄関に笹が飾ってあったわよね?短冊何て書いたの?」 「美希とセックスできますように」 「最悪……」 「叶ったわ」 「帰るとき外すから!!」 『美希を幸せにできますように』 嘘つきで気まぐれで、ちょっとだけ意地悪な彼女の紫色の短冊は、夜風にふわりと舞い上がった。 END
https://w.atwiki.jp/youtubeani/pages/303.html
キャシャーン Sins 【キャシャーン Sins ストーリー】 『キャシャーン Sins』は、テレビアニメ『新造人間キャシャーン』のリメイク版。 【ストーリー】荒廃した惑星にて、長い眠りから目覚めた記憶喪失のサイボーグであるキャシャーン。 敵と戦いながらキャシャーンは自らの記憶を取り戻さんとする…。 キャシャーン Sins Youtubeアニメ動画プレイリスト bookmark_yahoo このページをお気に入りに追加! 【アニメランキングに参加】 > 【動画】 > 【ドラマ・映画】 最新話 【アニメランキングに投票】 一日1回クリックお願いしますwww [部分編集] 第24話(最終回) 巡り咲く花へ 【Veoh】 【Megavideo】 【Veoh検索】 【Dailymotion検索】 【Youtube検索】 第23話 【Veoh】 【Veoh検索】 【Dailymotion検索】 【Youtube検索】 第22話 【Veoh検索】 【Dailymotion検索】 【Youtube検索】 第21話 【Veoh検索】 【Dailymotion検索】 【Youtube検索】 第20話 【Veoh検索】 【Dailymotion検索】 【Youtube検索】 第19話 【Veoh検索】 【Dailymotion検索】 【Youtube検索】 第18話 【Veoh検索】 【Dailymotion検索】 【Youtube検索】 第17話 【Veoh検索】 【Dailymotion検索】 【Youtube検索】 第16話 【Veoh検索】 【Dailymotion検索】 【Youtube検索】 第15話 【Veoh検索】 【Dailymotion検索】 【Youtube検索】 第14話 【Veoh検索】 【Dailymotion検索】 【Youtube検索】 第13話 【Veoh検索】 【Dailymotion検索】 【Youtube検索】 【Tudou検索】 第12話 【Veoh検索】 【Dailymotion検索】 【Youtube検索】 【Tudou検索】 第11話 【Veoh検索】 【Dailymotion検索】 【Youtube検索】 【Tudou検索】 第10話 第10話 【Veoh検索】 【Dailymotion検索】 【Youtube検索】 【Tudou検索】 第9話 【Veoh検索】 【Dailymotion検索】 【Youtube検索】 【Tudou検索】 第8話 【Veoh検索】 【Dailymotion検索】 【Youtube検索】 【Daum検索】 【Tudou検索】 第7話 【Veoh検索】 【Dailymotion検索】 【Youtube検索】 【Daum検索】 【Tudou検索】 第6話 【Veoh検索】 【Dailymotion検索】 【Youtube検索】 【Daum検索】 【Tudou検索】 第5話 月という名の太陽を殺した男 【Veoh】 【Veoh検索】 【Dailymotion検索】 【Youtube検索】 【Daum検索】 【Tudou検索】 第4話 滅びの天使 【Veoh】 【Veoh検索】 【Dailymotion検索】 【Youtube検索】 【Daum検索】 【Tudou検索】 第3話 苦悩の果てに 【Veoh】 【Tudou】 【Veoh検索】 【Dailymotion検索】 【Youtube検索】 【Daum検索】 【Tudou検索】 第2話 世界は断末の声に満ちて 【Veoh検索】 【Dailymotion検索】 【Youtube検索】 【Daum検索】 【Tudou検索】 第1話 終末の世界で 【Veoh検索】 【Dailymotion検索】 【Youtube検索】 【Daum検索】 【Tudou検索】 検索リンク アニメ > 動画 > ドラマ・映画 [部分編集] リンク切れ報告 感想・コメント アニメ感想掲示板 リンク切れは上の報告よりしてください。 ここに書かれても受け付けれません。 名前 このページはキャシャーン Sins のYoutube,Veoh,Dailymotion,Daum,Pandora等のアニメ無料動画紹介ページです。 タグ:Youtube,アニメ,ドラマ,動画,映画,wiki,無料,キャシャーン Sins ここを編集 タグクラウド(多い順): 動画 アニメ Youtube 無料 Veoh Wiki Youtbe ドラマ 映画 銀魂 NARUTO とある魔術の禁書目録 ガンダム00 鉄のラインバレル インデックス ef - a tale of memories. TALES OF THE ABYSS テイルズ オブ ジ アビス マリア様がみてる 亡念のザムド OVA クラナドアフターストーリー 夏目友人帳 ティアーズ・トゥ・ティアラ PLAYSTATION Store みなみけ 東のエデン グイン・サーガ クラナド 07-GHOST(セブンゴースト) 咲 -Saki- WHITE ALBUM 天体戦士サンレッド第2期 クイーンズブレイド 玉座を継ぐ者 ドラゴンボール改 ヒゲぴよ あかね色に染まる坂 ONEPICE ワンピース CLANNAD~AFTERSTORY~ キャシャーン Sins CLANNAD ケメコデラックス! 新世紀ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序 のらみみ2 純情ロマンチカ2 夜桜四重奏 ~ヨザクラカルテット~ 喰霊 -零- 黒塚 -KUROZUKA- ef - a tale of melodies. エフ ア テイル オブ メロディーズ 美肌一族 ヴァンパイア騎士 Guilty ヒャッコ のだめカンタービレ 巴里編 かんなぎ 屍姫 玄 魍魎の匣 ブリーチ BLEACH 地獄少女 三鼎 みつがなえ 東方アニメプロジェクト ナルト スティッチ! バトルスピリッツ 少年突破バシン 鋼殻のレギオス ONE OUTS -ワンナウツ- とらドラ ミチコとハッチン 黒執事
https://w.atwiki.jp/fleshyuri/pages/1104.html
「美希ちゃん、あの……わたしの胸……、気に入ってくれた?」 「うん。だから、あともう少しだけさわっててもいい?」 「いいよ、美希ちゃんの好きなだけさわって」 祈里が恥じらいを微笑でごまかしながら答える。 彼女の手が乳房から離れ、パジャマの前掛けボタンに伸びても、祈里の表情は微笑みを崩さなかった。それどころか、緊張した美希の指先がボタンを外すのに手こずっていると、「ちょっと待ってね」と自分からボタンを外していった。 はだけられたパジャマの内側に、美希の手を誘う。 「恥ずかしいから……、ラブちゃんやせつなちゃんには絶対内緒だよ?」 「わかってる。誰にも言わない」 美希が約束して、祈里の胸に指先を触れさせた。 スベスベとなめらかな皮膚の感触。しっとりと乳脂肪を詰めた柔らかなふくらみ。揉む動きをみせた指に、たぷたぷとした肉感が伝わってくる。 ダンスの練習で揺れるというのも頷ける ――― そう納得しつつ美希が円を描くような手つきで乳房の稜線をまんべんなく撫でていった。 「ブッキーの胸って直接さわるとねえ……軟らかくてフワフワのプリンって感じ」 「やだっ、美希ちゃんっ」 「褒めてるのよ。おいしそう…って」 「そうなの? ふふっ、じゃあ、うれしい」 こうやって胸をさわられていると、身体が甘く溶けてしまいそうな気分になる。 ただくすぐったかっただけの乳房の先端も、美希の手で撫でられているうちにぷっくりと乳頭が尖り始め、感度が強まっていく。 乙女のふくらみをゆっくりと揉み転がす手の平が、『キュンッ』とこわばった胸先の突起をなぞった途端、生まれて初めて味わう甘美なくすぐったさに、 「 ―――――― っっ!?」 びくんっ! 祈里の上半身が跳ねるように身悶えた。 美希がいったん手の動きをとめて、祈里の耳もとに「…大丈夫?」とささやいてみる。すぐに「うん、平気」と返事が返ってきたが、彼女の声がわずかに震えていることに気付く。 そこからは、あえて敏感な先っぽを避けるようにしてさわり続けたが、乳房の丸みを手の平で愛でるたび、やわらかなバストを優しく揉むたび、祈里はなまめかしく肢体をくねらせ、熱い吐息を口から洩らした。 (……なんでだろう? 美希ちゃんにさわられてると、カラダが……熱いよぉ) だんだんと切なく乱れだした自分の呼吸をうまく抑えられない。 胸をさわられているのに、身体の奥のほうがムズムズしてくる不思議な感じに戸惑ってしまう。この事を美希に知られたら……と思うと、何故だか分からないが、恥ずかしくてたまらなくなる。 喉から突き上げてきそうになる声をこらえ続けていたが、もう限界だ。ついに祈里の白い喉が震えて、「はあっ、あああっ…」と喘ぎ声を部屋に響かせてしまった。 …………急に空気が重苦しくなった。 美希がそっと乳房から手を離しても反応しない。祈里は顔を固くうつむかせ、身を焼くような羞恥から来る全身の震えを必死に押し殺していた。 「ごめんね、変な声…出しちゃった」 感情を抑えた、泣き出す一歩手前の声。 美希は掛け布団を引っぱり上げて、彼女を頭からすっぽりと覆ってやる。そして、掛け布団の上から腕を回し、祈里を強く抱きしめた。 「ウンッ! ブッキーは偉い。恥ずかしいのガマンして、すごくがんばった。本当に偉い」 見えないけれど、祈里がぽろぽろ…と涙を流して泣いているのが分かる。美希は羽毛布団越しに、彼女の頭を強めの力で何度も繰り返し撫でてやった。 「ほら、もう大丈夫。ね、ブッキー? 大丈夫……大丈夫だから……」 ようやく羽毛布団の下から鼻をすする音が聞こえなくなった頃、美希は覚悟を決めた貌(かお)になって深呼吸を一回。 祈里という少女が愛おしくて ――― とにかく何でもいいからしてあげたい。 そんな気持ちが美希の胸いっぱいにあふれかえる。 「がんばったね、ブッキーは。……だから、アタシが今から特別なクリスマスプレゼントあげる」 美希が掛け布団の下に腕を戻して、自分のパジャマの前掛けボタンを順々に外してゆく。緊張はあるけれど、迷いはなかった。全部外し終えると、次はブラジャーのフロントホック。 白い雪の肌に包まれたふくらみがこぼれる。祈里の胸と比べると、なだらかな隆起という感じだろう。ボリュームにはかけるものの、乳房の稜線は瑞々しい張りで綺麗に描かれている。 ――― これで恥ずかしいのはおあいこ。 祈里の頭を優しく撫でながら、そっと胸へと抱き寄せた。 「美希…ちゃん……」 母の胸に甘える子供みたいに両目を閉じて、祈里は二つのふくらみに顔をうずめた。ぐっ、と柔らかに跳ね返してくる乳房の弾力が気持ち良くて、思わず頬ずりしてしまう。 (あっ、美希ちゃん、汗かいてるんだ) 頬に感じる体温の火照りに、祈里の胸がドキドキと恍惚の鼓動を打つ。 手入れの行き届いた肌のなめらかさが気持ちよくて、左右の美丘へ交互に頬をすべらせながら、うっとりと満喫させてもらう。 美希ちゃん ――― 声に出さずにつぶやいてみる。 息をすると、生々しい肌の匂いとぬくもりを嗅いでしまい、余計に心臓がドキドキする。 羽毛布団の下で胸に甘え続ける祈里の髪を、美希が穏やかな手つきで撫でてきた。『もっと甘えていいよ』と言ってくれているみたいな気がした。 これは、大切な親友であるラブやせつなにも内緒の、祈里と美希だけの秘密。 思春期の胸のふくらみにギュッと頬をくっつけて、幸せそうな表情になる。 美希ちゃんはわたしの胸を『好き』って言ってくれた。 わたしもね、美希ちゃんの胸が『好き』になっちゃった。 ――― 素敵なクリスマスプレゼントをありがとう、美希ちゃん。 幼なじみの乳房に手を添えて、感謝の気持ちと共に静かに唇を這わせた。 ちゅっ…。 甘やかな音が、美希の肌に響く。 祈里の頭が、一瞬、ぎゅうっと強く抱きしめられた。 (好きな人と愛し合うのって、こういう感じなのかな……?) 美希が恋人。それもいいかもしれない。やわらかなバストを両手でマッサージするように愛でつつ、彼女の胸の谷間に、そして乳房の内側にも、祈里の唇が優しくキスの雨を降らせていった。 祈里の唇が肌の上で、「ちゅっ…」という音を鳴らす。 くちづけの甘いこそばゆさに、美希は再び祈里の枕の端を強く噛んだ。もう何回目だろう、こうやって耐え凌ぐのは。 胸に触れられる感覚は、美希の予想よりもくすぐったく、そして、恥ずかしかった。 女の子同士だから平気……などという考えは、最初の頬ずりを受けた時点で消し飛んだ。祈里のサラサラの髪に乳房を撫でられ、全身が跳ね悶えそうになった。 (だいじょうぶ、ガマンできる。アタシ完璧、完璧……) 心の中で自己暗示のごとくつぶやきながら、祈里の髪をいらうことで気を紛らわせていたら、今度は自分の胸で、肌に吸いつく『ちゅっ』という音が……。 とっさに祈里の頭にクリンチしてしまった。 (わっ、わっ、わっ、え…ウソ、キス? アタシの胸、メチャメチャ愛されてるっ!?) 混乱する美希の表情が、みるみる紅潮してゆく。変に格好つけるんじゃなかったと後悔しても、もう遅い。なんだか、さっきよりも敏感になってしまった肌に降る甘いキスの雨。 全身が『カァーーッ』とのぼせてしまうような、妙に体の奥がむずがゆくなってくるような、初めて覚える感覚に、美希の理性が翻弄されそうになった。 ――― これ、絶対マズイ。アタシ……、アタシ……、 顔のすぐそばにあった祈里の枕の端をガジガジ噛むことで、声の洩れは防いでいるが、それもいつまで持つか……。 何より、こうやって祈里に胸のふくらみをさわられたり、キスされたりするのが全然嫌じゃないのだ。そのため、美希の心が抵抗できない。 (好きな相手にカラダを求められるのって、こういう感じなのかな……?) 祈里が恋人? なんでそうなっちゃうんだろう。でも、乳房を優しく撫でられ、愛しげなくちづけを与えてもらう内に、彼女を恋人にするのも悪くない ――― そういう気分になってしまった。 枕の端を噛んで声をこらえながら、今度こそ本当に祈里を抱きしめた。 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆ 「アタシ、格好悪い…」 翌日、朝。 見事に風邪の症状が再発していた。治りきってもいないのに、一晩中、パジャマをはだけていたのはマズかったかもしれない。 祈里が用意してくれた濡れマスクのおかげで、喉の調子はだいぶ楽だ。 「美希ちゃん、だいじょうぶ? お粥、もう少ししたら出来るからね」 ドアを開けて部屋に入ってきた祈里は、パジャマの上からエプロンをまとっていて、とても家庭的な雰囲気だ。ほくほくとお粥の匂いがしている。 美希は上体を起き上がらせ、口もとのマスクを下げた。 「ありがと。ブッキーのお粥食べて、早く風邪治さないとね」 「熱は今どんな感じ?」 そう言って近づいてきた祈里が、美希とおでこをくっつき合わせる。体温計があるからそっちを使えばいいのに、と思わないこともない。 とりあえず唇同士の距離が近いなあ…などと美希が考えていたら、それが伝わったのか、祈里の顔がサッと離れてしまった。 「なに照れてるのよ。昨日はあんなにキスしてきたくせに」 「だって、あれは…その……」 「 ――― で、こっちへのキスはいつしてくれるの?」 美希が自分の唇を指でなぞってみる。祈里は花も恥らうぐらいの可愛らしさでエプロンの裾を掴んでモジモジするばかり。そんな彼女の様子をじっくり観賞してから提案する。 「もし、昨日感じた気持ちが二人とも変わらないまま大人になれたら、その時にしよっか。アタシたちの独身20周年記念ってことで」 祈里が嬉しそうに赤らめた顔を、こくっ、と縦に振った。そして、キュッ…と握った右手のこぶしを口もとに当て、微妙に美希から視線をそらして言う。 「早く風邪治してね。初詣で一緒にお願いしてほしい事があるから」 「ん? アタシに彼氏が出来ないように…とか?」 「ううん、そうじゃなくて……あのね、わたしの胸が大きくなるようにって……」 パタパタと逃げるように小走りでドアの前まで行って、そこでまたモジモジしながら続きの言葉を口にする。 「美希ちゃんは、胸のおっきい女の子が好きだもんね」 「……へっ?」 「うんっ、わたし、がんばるからっ!」 はじけるような笑顔で振り向いた祈里が「すぐにお粥持ってくるから」と部屋を出て行った。残された美希が、祈里は何をどうがんばるつもりなんだろう?とベッドの上で考え込む。 昨夜の、二人だけの甘いクリスマス・イブを経て、何故かよく分からない勘違いが生じてしまっているらしい。あとで一つ訂正を入れておこうと美希は思った。 自分が好きなのは、胸の大きな女の子ではなく、山吹祈里という女の子だけなのだ、と。 (アタシもがんばったほうがいいかな? 胸のサイズでブッキーにどんどん置いていかれそうな気がする……) 再びベッドに横になってマスクを戻そうとした美希が「くしゅんっ!」と可愛らしいくしゃみをした。 (おわり)
https://w.atwiki.jp/youtubeani/pages/290.html
ケメコデラックス! 『ケメコデラックス!』は、いわさきまさかずによる日本の漫画作品。 2005年12月号より『月刊電撃コミックガオ!』(メディアワークス)にて連載していたが、『月刊電撃コミックガオ!』の休刊に伴い、『月刊コミック電撃大王』に移籍して連載。 【ケメコデラックス!ストーリー】 夢見がちな高校生、小林三平太は10年前に婚約した美少女のことを思い出していた。ある朝目が覚めると、目の前にケメコと名乗るウェディングドレス姿のブサイクな謎の少女が現れた。彼女は突然、「私がお前のヨメだ」と宣言し結婚を迫る。果たして彼女の正体は…。 ケメコデラックス! Youtubeアニメ動画プレイリスト bookmark_yahoo このページをお気に入りに追加! 【アニメランキングに参加】 > 【動画】 > 【ドラマ・映画】 ケメコデラックス!ケメコデラックス! Youtubeアニメ動画プレイリスト第12話(最終回) 第10話 検索リンク リンク切れ報告 感想・コメント 【アニメランキングに投票】 一日1回クリックお願いしますwww [部分編集] 第12話(最終回) 第12話(最終回) 「ケメコVSキリコ」 【Veoh】 【Veoh検索】 【Dailymotion検索】 【Youtube検索】 【Tudou検索】 第11話 「ミシマ」 【Veoh検索】 【Dailymotion検索】 【Youtube検索】 【Tudou検索】 第10話 第10話 「花火」 【Veoh検索】 【Dailymotion検索】 【Youtube検索】 【Tudou検索】 第9話 「ばとるろわいやる?」 【Veoh検索】 【Dailymotion検索】 【Youtube検索】 【Tudou検索】 第8話 「ブラック☆ガール」 【Veoh検索】 【Dailymotion検索】 【Youtube検索】 【Tudou検索】 第7話 ピンチのイズミちゃん! 【Veoh】 【B9】 【Tudou】 【Veoh検索】 【Dailymotion検索】 【Youtube検索】 【Tudou検索】 第6話 ミシマの女 【Veoh】 【Tudou】 【Veoh検索】 【Dailymotion検索】 【Youtube検索】 【Tudou検索】 第5話 戦士の休息 【Veoh】 【Tudou】 【Veoh検索】 【Dailymotion検索】 【Youtube検索】 【Tudou検索】 第4話 彼女が水着に着替えたら 【Veoh】 【なんとか動画】 【Veoh検索】 【Dailymotion検索】 【Youtube検索】 【Tudou検索】 第3話 ケメコ登校! 【Veoh】 【B9】 【Tudou】 【Veoh検索】 【Dailymotion検索】 【Youtube検索】 【Tudou検索】 第2話 小林家の人々 【Veoh】 【Veoh検索】 【Dailymotion検索】 【Youtube検索】 【Tudou検索】 第1話 鋼鉄の花嫁 【Veoh】 【Veoh検索】 【Dailymotion検索】 【Youtube検索】 【Tudou検索】 検索リンク アニメ > 動画 > ドラマ・映画 [部分編集] リンク切れ報告 感想・コメント アニメ感想掲示板 リンク切れは上の報告よりしてください。 ここに書かれても受け付けれません。 名前 このページはケメコデラックス!のYoutube,Veoh,Dailymotion,Daum,Pandora等のアニメ無料動画紹介ページです。 タグ:Youtube,アニメ,ドラマ,動画,映画,wiki,無料,ケメコデラックス! ここを編集 タグクラウド(多い順): 動画 アニメ Youtube 無料 Veoh Wiki Youtbe ドラマ 映画 銀魂 NARUTO とある魔術の禁書目録 ガンダム00 鉄のラインバレル インデックス ef - a tale of memories. TALES OF THE ABYSS テイルズ オブ ジ アビス マリア様がみてる 亡念のザムド OVA クラナドアフターストーリー 夏目友人帳 ティアーズ・トゥ・ティアラ PLAYSTATION Store みなみけ 東のエデン グイン・サーガ クラナド 07-GHOST(セブンゴースト) 咲 -Saki- WHITE ALBUM 天体戦士サンレッド第2期 クイーンズブレイド 玉座を継ぐ者 ドラゴンボール改 ヒゲぴよ あかね色に染まる坂 ONEPICE ワンピース CLANNAD~AFTERSTORY~ キャシャーン Sins CLANNAD ケメコデラックス! 新世紀ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序 のらみみ2 純情ロマンチカ2 夜桜四重奏 ~ヨザクラカルテット~ 喰霊 -零- 黒塚 -KUROZUKA- ef - a tale of melodies. エフ ア テイル オブ メロディーズ 美肌一族 ヴァンパイア騎士 Guilty ヒャッコ のだめカンタービレ 巴里編 かんなぎ 屍姫 玄 魍魎の匣 ブリーチ BLEACH 地獄少女 三鼎 みつがなえ 東方アニメプロジェクト ナルト スティッチ! バトルスピリッツ 少年突破バシン 鋼殻のレギオス ONE OUTS -ワンナウツ- とらドラ ミチコとハッチン 黒執事
https://w.atwiki.jp/fleshyuri/pages/1019.html
クローバーフェスティバルの特別ゲスト、トリニティがステージに上がる。ミユキ、ナナ、レイカ。たった三人の登場で会場が別の空間に姿を変える。 彼女たちの声に、視線に、魔力でもあるかのように。一挙手一投足に神秘の力でもあるかのように。 全ての観客の意識を独占する。バラバラに楽しんでいた人々が一つに繋がっていく。せつなも、美希も、祈里も―――― ただ一人――――ラブだけを残して―――― 「ラブ――――ラブ――――どうしたの?」 せつながラブの様子のおかしいのに気付いて声をかける。 喜びと興奮に包まれる会場において、一人切なく悲しそうな表情を浮かべる。 拳は固く握り締められ、相当な力が込められていることを示すように両腕が小刻みに震えていた。 「せつな……。大丈夫、なんでもないよ。トリニティのダンス、やっぱり凄いね」 「ええ……そうね」 せつなはそれ以上は追求せずに、ラブの拳をそっと開いて手を握った。 それでラブも落ち着いた様子だった。しかし、ステージが進むうちに再び様子がおかしくなる。 何かをこらえるような表情、せつなの手が痛みを感じるほど強く握られる。もう――――理由を聞くまでも無かった。 せつなの表情が後悔に歪む。ダンス大会で優勝したクローバーには、本来はプロデビューへの道が開けていたはずだった。 だが、せつながラビリンスへの帰還を宣言したことでクローバーは本来の姿を失った。残された三人はせつな抜きで続けることを望まなかった。 美希と祈里もまた、それぞれモデルと獣医の夢を追うことになり、クローバーは解散した。 ただ一人――――ラブの夢を置き去りにして。 …………………………………………………… ………………………………………… ……………………………… …………………… 「今のは――――夢? フフッ、寝ている間に見る記憶の断片も、そういえば夢と言うんだったわね」 いっそ、夢であったらいいのにと思う。悪夢と呼ばれる類の、ありもしない妄想だったらいいのにと思う。 でも、全ては本当にあった出来事。夏祭りの思い出の一つ。 「だったら、せつながみんなの幸せを選ぶなら、あたしはせつなの幸せを選ぶ」 ほんの数時間前の記憶がその夢に重なる。 “自分の幸せとみんなの幸せ”そのどちらかしか選べないとしたら、せつなは迷わず後者を選ぶと答えた。 そんなせつなに対してラブは宣言したのだ、そうしたら全員が幸せになれるからって。 「そんなはず――――ないじゃない……」 ラブ、美希、祈里で倒れるまで練習して、やっと望んだダンス大会。それをイースがメチャクチャにしてしまった。 それでもラブは平気だって答えた。心配してくれる人がいる幸せを見つけたからって。結果、あれほど夢中になっていたダンスを中断してしまった。 そしてついに優勝を手にしたのに、直後にせつながラビリンスに旅立ってしまった。結果、クローバーは解散を余儀なくされた。 それでもラブは自分を省みることもなく、せつなを笑顔で送り出してくれた。 「何が――――どちらかなんて選べない……よ。いつだって自分は後回し、そんなのラブだって同じじゃない」 出会った時からそうだった。ラブは、自分が欲しかった幸せの素をせつなにプレゼントしてしまった。 まるで――――始めからせつなのために求めていたかのように。 いつだってそうだった。ラブは始めからずっと、自分の幸せを諦めてでもせつなの幸せを選んできたのだ。 そして今回、はっきりと約束してしまった。それはラブの中で揺るがぬ誓いとなるだろう。今後訪れる、あらゆる選択に影響を与えるだろう。 「ラブから、離れるべきなのかもしれない。今ならまだ間に合う。別れてラブが失うものは、せつなという親友だけなのだから」 決心も固まっていない言葉を口にする。それだけで、出口のない暗闇の中に突き落とされるような気持ちになる。 構わないと思った。辛くても、苦しくても、ただ耐えるだけでいいなら慣れている。 いつかまた別れる日が来る。それは承知の上での再会だったのだから。 ひとつだけ心残りがあった。 夢とは何なのかってこと、それを知りたかった。幸せを導く大切な願い。わかるのは、ただそれだけ。 せつなの夢。みんなを笑顔と幸せでいっぱいにしたいという想い。これとラブや美希や祈里の夢は果たして同じなのだろうか。 「私の夢はみんなの夢とは違うの? だとしたら、本当の私の夢を見つけられたら、何かが変わるのかしら」 トゥルル――――トゥルル――――トゥルル―――― トゥルル――――トゥルル―――― トゥルル―――― 聞きなれない音に思考が中断される。音の発信源は机の奥からだ。暗闇の中で引き出しの一つが淡い光を放つ。 “異空間通信機”ラビリンスを発つ前にサウラーから手渡されたもの。携帯電話に偽装されており、距離を無視して異なる空間の通話を可能とする。 この世界ではオーバーテクノロジーと位置付けられるもの。だから、普段は机にカギを掛けて決して持ち歩くことはない。 ラビリンスを発って半年足らず、これが初めての通信だった。 「せつなよ。何かあったの?」 「よお、イース。元気か? なんだ、あんまり元気じゃ無さそうだな」 「ウエスター……雑談に付き合う気分じゃないの。そちらで問題でも起きているの?」 「その逆だ、全く何事もなく順調だ。だからもう――――お前が意に沿わない仕事をする必要もなくなった」 「何が言いたいの?」 「楽しそうならこのまま切るつもりだったんだがな。もしそちらで上手くいってないのなら――――」 「――――帰ってこないか?」 『帰ってきたせっちゃん――ある日のせっちゃん。せつなが帰る日(前編)――』 クローバーコレクションの会場、四つ葉記念ホールに長蛇の列ができる。収容人数二千人の会場を埋め尽くす。 その舞台裏では、モデルがプロのメイクと打ち合わせしながら最終調整を急ぐ。髪型、化粧、ネイルと衣装とのバランスをギリギリまで突き詰めていく。 そして、緊張と興奮の高まる中、ついにステージが幕を開く! 巨大バックモニターに、モデルのプロフィールが契約ブランド名と共に映し出される。 暗い会場に巨大な十字架が点灯する。“クロスランウェイ”と呼ばれる全長三十メートルにも及ぶモデルの花道だ。 ダイナミックな音楽が鳴り響く。“ランウェイビート”と呼ばれるバックグランドミュージック。会場の全ての照明が点灯して、煌びやかにコレクションの舞台を彩る。 観客の大歓声の中、ついにモデルが登場する。ランウェイを颯爽とポージングを決めながら歩いていく。たちまちホールは興奮の渦に包まれた。 モデルの仕事は大きく三つに分類される。雑誌を扱うスチールモデル。CMやCFなどの映像モデル。そしてファッションショーに出演するショーモデルだ。 中でもコレクションの舞台は、ファッションフェスタとも呼ばれておりモデルにとって最大の栄誉とされている。人気ファッション誌の専属モデルが、雑誌間の垣根を超えて同じステージに立つのだ。 そんな今を輝くモデルたちの中に美希の姿もあった。有名ブランド契約のトップモデルとは比ぶべくもないが、コレクションの舞台はいわゆる青田買いを狙うスカウトも多い。 何より前座に近い扱いとはいえ、中学生でありながらコレクションの舞台に立つのは大変な成功者の証でもあった。 ついに美希の番が訪れる。緊張はするが初めてではない、大きく息を吸い込んで歩き始める。 衣装はジュニア誌とタイアップしたリアルクローズ(普段のお洒落着)だ。大人のモデルに劣らぬ長身に、青く、長く、美しい髪が揺れる。 誇らしげに歩ききって、ランウェイの先端でポージングを決める。会場のどこかにいるはずの親友を軽く目で探しながらウィンクを決め、ターンして戻っていく。 もちろん最後まで気は抜かない。後姿の披露もまた、モデルの重要な役割なのだから。 「凄い……とても綺麗よ。美希は夢を叶えたのね」 「うん、美希たん超キレイ! とても同じ中学生とは思えないよ。なんだか知らない人みたい」 「美希ちゃんの夢は世界で活躍するトップモデルだから、まだまだ満足はしてないと思うけど」 「でも、大きな一歩を踏み出したのよね。ちょっと寂しいけど、やっぱり嬉しい」 「寂しい? ブッキーが?」 「うん、なんだか美希ちゃんが遠くにいっちゃうような気がして」 「大丈夫だよ、美希たんは美希たんだもの。あたしたちはいつまでも一緒だよね? せつな!」 「えっ……、ええ、そうね――――」 曖昧な返事しかできなくて、すぐに後悔する。ラブの表情に不安の影が差す。せっかく楽しいステージを見に来ているのに……。 “周りを笑顔にする”ラブがいつもしていることが、どうして自分にはできないのだろう? 美希の姿が視界から消える。しかし、その輝きはせつなの脳裏に焼き付いて離れなかった。 トリニティのダンスと同じだと思った。ラブの目指すダンサーの夢と同じだと思った。自分を輝かせ、その光で周囲を幸せにするもの。それが夢なのだろうか? だとしたら、“みんなを笑顔と幸せでいっぱいにしたい”そう願う自分の夢は、本当の夢とは言えないのだろうか? 華やかで、綺麗で、眩しくて。楽しい時間はあっという間に過ぎる。やがてクローバーコレクションが感動的なフィナーレで幕を閉じる。 美希はこの後も色々用があるらしく、ラブ、せつな、祈里の三人で帰路に着いた。 「感動したね~! せつな、ブッキー、また来ようね!」 「うん、美希ちゃんの夢はみんなで応援したいもの!」 「………………………………」 「せつな、どうしたの? 楽しくなかった?」 「あっ……。ごめんなさい、ちょっとぼんやりしてて……」 「もしかして熱があるんじゃ?」 「そんなんじゃないの。ねえ、ブッキー。今から動物病院を見学させてもらっていいかしら?」 「うん、帰ってからお手伝いしようと思ってたから構わないけど……」 「あたしも行こうか?」 「ラブは先に帰って夕ご飯の準備をお願い。みんなで押しかけたら迷惑になると思うし」 「わかった、遅くなるなら連絡してね」 ラブは一瞬怪訝そうな表情を浮かべたが、それ以上聞き返すことはしなかった。祈里もまた何か感じたようだったけど、口にはせずに一緒に帰ろうと言ったきりだった。 焦り過ぎているのは自覚している。“本当の自分の夢”そんなものがあるのなら、時間が掛かってもいいからゆっくり探そうと思っていた。 でも、そんなに時間はないのかもしれない。昨夜のラビリンスからの連絡は、早く決断しろという天の啓示なのかもしれない。 長くこの地に留まり続ければ、別れの時に、より大きな悲しみを残してしまうことになるのだから。 山吹動物病院。クローバータウンストリートの大通りにあって、外からは毎日のように見ている建物。実際に中に入ったことも何度かあった。 しかし、まじまじと観察するのは初めてだった。 診察室だけは壁で区画されているものの、極めて開放的な造りの建物だった。どこからでも見渡せる、そんなコンセプトが感じられた。 待合室はとても広々としていて、診察がなくても雑談に訪れる人もいる。動物の病院に対する恐怖を和らげるためでもあり、飼い主同士のコミニュケーションの場でもあるらしかった。 正と尚子に許可をもらって診察室に入れてもらう。 入ってみて、なぜ診察室だけが厳重に区画されているのかその理由がわかった。 実に多種多様な動物が入れ替わり診察に訪れるのだ。中には天敵と呼べる関係の動物の組み合わせもあった。これでは視界に入るだけで暴れだすだろう。 個人で経営している動物病院では、犬と猫しか診ない所も多いと聞く。その二種はもちろん、鳥類、ハムスターのような小動物、蛇やトカゲなどの爬虫類まで診察しているのだ。 それだけで正と尚子の腕が尋常なものでないことをうかがい知ることができた。 診察は正が行うが、治療は尚子が受け持つことも多い。その時は祈里が助手に入る。ただの手伝いではない。正の診察の前に、簡単な病気なら見抜いてしまうのだ。 祈里もまた、着実に夢に向って手を伸ばしている。そう感じられた。 彼らに共通して言えることは、情熱的で瞳が輝いていることだった。普段はそうは感じないけど、何かに夢中になっている時のラブの目と同じだと思った。 美希のモデルのような美しさではないけれど、そんな姿もまたキレイだと感じた。やはり活き活きと輝いて見えた。 残りの診察時間もあと僅か、このまま何事も無く一日を終えるかと思われた。そんな時、割れんばかりの大型犬の唸り吠える声が病院中に響き渡る。 急患の大型のシェパード犬だった。苦痛によって神経を尖らせていて、脅えて攻撃的になっているらしい。 前の病院の処置が悪くて病院不審になっており、なんとか逃げ出そうと牙をむいて暴れる。手の開いている祈里が押さえようと近づく。 「大丈夫よ、すぐに痛いのは収まるからじっとして」 「駄目だ! 祈里、離れなさい!」 「無理しちゃダメ、すぐに行くから!」 怖がる他の飼い主とペットのために、まずはなだめようと祈里が首輪を取る。しかし力が圧倒的に違う。たちまち振り払われて転倒する。 事故はその後に起こった。暴れた拍子に、緩んでいたマウスリングが外れてしまう。鳴き声が出た時点で予想されたこと。恐怖によって正気を失った猛犬の牙が祈里に襲いかかった! 「きゃああ!」 「ブッキー!!」 正が駆けつけるよりも、一足早くせつなが割り込む。拳をねじ込むようにして牙の軌道をそらす。 その後、偶然顎の下の皮を掴んだのが良かったらしい、噛むことのできなくなった犬は逃げ出そうとがむしゃらに暴れる。 しかし、せつなの拘束は外せない。次の瞬間にはあっさりと正に押さえ付けられてしまった。 「ありがとう、せつなちゃん」 「助かったよ、二人とも怪我はないか?」 「平気です。私こそ怪我をさせてないといいけど……」 その後は簡単だった。スタスタと近寄ってきた尚子が無造作に包帯で犬の口を縛ってしまう。 瞬く間に鎮静剤と痛み止めを打たれた犬は、それまでの暴れっぷりが信じられないほど従順に診察に従った。 もう下がって休みなさいという正と尚子の勧めに従って、祈里とせつなは部屋に戻った。 その時に、祈里が一瞬見せた悔しそうな表情が印象に残った。“悔しい”それは普段の祈里のイメージからは、あまりにも似つかわしくない感情だったから。 「ごめんなさい、ブッキー。私、あの犬を殴っちゃった……」 「あのくらい大丈夫だと思う。凄く強い犬種だし、ちゃんと手加減していたみたいだもの」 「飼い主さんも謝ってたしね。それより、今日は本当にどうしたの?」 「………………………………」 せつなはポツポツと話し出す。クローバーフェスティバルで見せた、ラブの悔しそうな表情が忘れられないと。美希のモデルに賭ける想いからも、ラブと同じものを感じるって。 魅了されて、夢中になって、情熱をたぎらせる。自らを輝かせて、その光で周囲を幸せにする。それが夢なんだとしたら、自分の願いは何なんだろうって。 みんなを笑顔と幸せでいっぱいにしたい。そんな願いは、果たして夢と言えるのだろうかって。 「ブッキーの夢は獣医。動物たちの病気を癒して幸せに導くお仕事。だったら、その夢は私の夢と似ているはずよね?」 「――――違うよ……。わたしの夢と、せつなちゃんの夢は同じじゃないと思う」 「どうして!? 動物に幸せになってほしいから獣医になりたいんでしょ? 自分が輝きたいわけじゃないのよね?」 「わたしもラブちゃんや美希ちゃんと同じ。自分が輝きたいんだと思う」 「獣医……なのに?」 「そうよ」 興奮して立ち上がったせつなに、祈里は座るように促す。自分も一口だけ紅茶を飲んでから話し出した。 昔、まだせつなが仲間ではなかった頃、シフォンが突然苦しみだしたことがあった。祈里は看病を買って出たものの、シフォンの病気が何なのかすら突き止められなかった。 懸命に医学書を捲ったものの何もわからず、ただ成す術もなくシフォンが苦しむのを見ているしかなかった。ちゃんとした獣医がその場に居たら、きっと助けてあげられたはずなのに。 結局、原因はただの便秘だった。でも、もしも正が一緒に居てシフォンを治療してくれたとしても、祈里の心は完全には晴れなかっただろう。 祈里は、自分の手でシフォンを治してあげたかったのだから。 「―――――自分の……手で?」 「そう、さっきのも同じよ。わたしではあの子を助けてあげることができなかった。それが悔しいって思ったの」 「せつなちゃんはどうなの? 自分の手でラビリンスを幸せにしたいの? それとも結果が同じなら、自分はそこに居なくてもいいの?」 「私は―――――自分のことなんて考えたこともなかったわ……」 「だったら、少なくともわたしの夢とせつなちゃんの夢は違うと思う」 打ちのめされた気分だった。その後、祈里と何を話したのかすら覚えていない。四人の中で唯一、祈里の夢だけは自分と似ていると思っていた。 だから、彼女に聞けば何かがつかめると期待していた。でも、結局は全否定。祈里の幸せもまた、ラブや美希と同じもの。 自らを輝かせること。自らの望みを叶えること。夢とは、自分の幸せを追求することなんだろうか? (だとしたら、私がラビリンスでやってきたことは何だったと言うの?) 桃園家の夕ご飯、本日の料理当番はラブだ。メニューは当然のように特製ハンバーグ。 普段以上に豪華な盛り付けは、美希のお祝いだから。得意そうに今日のファッションショーの様子を話す。まるで、自分の活躍であるかのように―――― ラブは他人の幸せを、自分の幸せと同じくらいに喜ぶことができる。だから、ラブの周りにはいつも幸せが溢れている。 チクリと胸が痛む。かつての自分に、同じことができたなら……。 今なら、できると思う。それ以上のことだって。当然だと思う。これ以上、何も望むものがないくらい幸せなんだから。 ラブが幸せなのとは全く意味が違う。本来なら、得られるはずのない幸せを手にしたのだから。 イースはどうだったろう? 他人の幸せが羨ましくて、笑顔を見るのが辛くて、笑い声が耳に痛くて。 目を閉じて、耳を塞いで、力の限り暴力を振るった。 任務だった。使命感もあった。でも、自分だけは誤魔化せない。 (私は――――ラブが、幸せそうな人たちが、うらやましかったんだ……) ラブは自分の幸せを求めながらも、他人の幸せも心から望み、喜ぶことができる。たとえ、その幸せが自分には手の届かないものであっても。 せつなは、イースは違う。自分の幸せを諦めることによって、他人の幸せを喜べるようになった。 始めから、自分の幸せよりも他人の幸せを選んでいる。それを前提にすることで自分が生きることを許している。 それでも不幸にはならなかった。自ら手を伸ばさなくても、幸せは向うの方からやってくる。 まるで、絶え間なく押し寄せて止むことのない波のように。 ラブにあってせつなに無いもの。それは自分の幸せの有無ではない。 (私とラブの一番大きな違い。それは、自分の幸せを心から望んでいること。それが夢なのだとしたら……) 「せつな? せつな? どうしたの、大丈夫?」 「具合が悪いの? せっちゃん。さっきから何も食べてないじゃない」 「何かあったのか?」 「あっ……。ううん、なんでもないの。心配かけてごめんなさい」 “心配してくれる人がいる。それって凄く幸せなことだと思うの” かつて、コンサート会場でせつなが倒れた時、医務室でラブが話してくれたことを思い出す。本当に、そうだと思う。 でも、心配してる人にとって、心配することは幸せなことなんだろうか? (ラブは、私と出会ってから悲しい顔をすることが多くなった。そんな気がするから――――) まだ薄暗い、早朝の四つ葉公園。かつて、クローバーの一員として毎日のように練習に明け暮れた場所。 せつなはダンシングポッドを設置して、静かに演奏の開始を待つ。 着ている服は学校で使っているジャージ。クローバーのユニフォームは、四人で踊る時しか使ってはいけないような気がした。 音楽が始まる、ダンス大会で優勝した時の曲を選択した。長いブランクがあるにもかかわらず、旋律に合わせて自然と身体が動き出す。 目を閉じると、今でも四人で踊っているような気持ちになる。だから――――しっかりと目を開いて踊ることにした。 本当なら、ラブを誘っても良かったはずだった。ダンスの夢が諦めきれず、今でも時々一人で練習しているのも知っている。 そして――――一人で本格的にダンスを再開する気にもならず、すぐに切り上げてしまうのも知っていた。 (ラブと一緒に踊れば楽しいに決まってる。でも、それじゃダメ。夢が自分の幸せを求める気持ちから生まれるのなら、一人で踊っても何かを感じ取れるはず) “自分の本当の夢”それは何だろうと、ずっと考えてきた。でも、どうしても見つけることができなかった。 最後の望みをかけて、もう一度ダンスを踊ってみようと思った。かつてただ一つ、一途に、懸命に打ち込んだものだったから。 あの時と変わらない曲。変わらない振り付け。身体は動く。なのに――――まるで心が弾まない。 こんなに、味気ないものだったんだろか? あんなに――――楽しかったのに。 自分はダンスが好きだったんだろうか? それとも、みんなと一緒にやれるなら何でも良かったんだろうか? 肩を落として帰る支度をする。もうみんな起き出してくる時間だ。黙って出てきたこともあり、これ以上心配はかけたくなかった。 少し歩いてすぐに足を止める。カオルちゃんのドーナツ屋さんの近くで、見知った三人の姿を見つけた。ラブと美希が何かを言い争っているようだった。 「この先にせつなは居るんだよね? 美希たん、通して!」 「せつなは今、自分の幸せを探そうとしているの。お願い、ラブ。せつなをそっとしておいてあげて」 「そっとなんてしておけないよ! せつな、ずっと様子が変だったもの。まるで迷子みたいに、悲しそうな顔をしていたもの」 「本当に、迷子なのかもしれないわ。本当の自分を探して、本当の自分の幸せを探して、迷っているのかもしれない」 「だったら、なおさら一人になんてしておけないじゃない」 「それで、行ってどうするの? これが幸せだって、これが夢だって教えてあげるの? そんなものに、唯一絶対の正解なんてないのよ!」 美希が通せんぼするように立ちはだかり、厳しい目でラブを見つめる。ただ、せつなをそっとしておきたいだけではない。ラブに伝えたいことがあるのは明らかだった。 クローバーの解散はせつな一人の脱退が原因ではない。それをきっかけに、美希がモデルの夢を本格的に追い始めたからだった。 せつなが帰ってきてからというもの、その様子に一番気を使っていたのも美希だった。 「押し付けてるっていうの? あたしが……せつなに?」 「ゴメン、言い過ぎたわ。だけどもう見ていられないの。あの子、全然、自分のために生きてないじゃない。本当のせつなは、一体どこに居るの?」 「本当のせつな……。その幸せ? せつなは、今、幸せだって言ったよ。確かに言ったもの……」 「それはラブの幸せじゃないの? ラブとせつなは違う人なのよ。せつなにはせつなの人生があって、幸せがあって、夢があるはずよ」 「そんなのわかってる。だけど、あたしはせつなが……」 「ラブ、あなたもよ。ダンスの夢はどうするつもりなの? せつなが帰ってきてから、ミユキさんのレッスンまで断ったそうじゃない!」 「言いすぎよ美希ちゃん! わたし――――そんなこと頼んでない!」 それまで様子を見守っていた祈里が割って入る。先日、家に来た時のせつなの様子がいつもと違っていたので、美希に相談したのだった。 フラフラとせつなが歩み寄り、三人は言葉を失う。そこでようやく、せつなに話を聞かれていたことに気が付く。 「私がラブの、幸せを妨げている? ラブの夢の足を引っ張っている?」 「せつなっ!」 「違うの、せつなちゃん!」 「待って! せつなっ!!」 せつなが呆然とした表情でその言葉を繰り返す。やがてその意味が本当に理解できたのか、それを否定するかのように数回首を振る。 無理に作ろうとした笑顔が哀しみに歪む。数歩後ずさって、そのまま背を向けて走り去った。 どこを通って、どれだけ走ってきたんだろうか? 場所なんてどうでも良かった。 ただ――――今のことを考えるのが怖くて、無心に走り続けた。 気が付くと目の前は一面の緑。花の枯れた、葉っぱだけのクローバーの丘。無意識に人目を避けて、この場所を選んだのだろう。 限界まで酷使した身体を投げ出す。このままクローバーの葉っぱの一枚になれたら……。そんな風に考えてしまう。 「せつなが帰ってきてから、ミユキさんのレッスンまで断ったそうじゃない!」 ユニット“クローバー”の解散後、目標を失っていたラブにミユキは進んでコーチを買って出た。以前より、ずっと少ない頻度ではあったけれど。 ラブはどこにも所属することを望まず、たった一人で、時々コーチを受けながらレッスンを続けてきた。 (どうして、気が付かなかったんだろう? 夏に数回、レッスンを受けていたのは見ていたはずなのに) トリニティの活動が忙しくなったんだろうと勝手に決め付けていた。ラブはきっと、せつなを気遣ってレッスンを辞退したんだろう。 ダンサーの夢を一緒に追いかけられなくなったから。二人で過ごす時間を、大切にしたかったから……。 わかっていたことだった。ラブは始めからずっと、自分の幸せを諦めてでもせつなの幸せを選んできたのだ。 (何が、今ならまだ間に合うよ……。とっくに――――手遅れなんじゃない……) そうまでして、ラブが守ろうとしたせつなの幸せって何だろう? 何のために、自分はこの街に帰ってきたんだろう? 「本当のせつなは、一体どこに居るの? せつなにはせつなの人生があって、幸せがあって、夢があるはずよ」 美希の言葉が思い出される。本当の自分って何だろうと思う。 イースとはもうお別れした。この姿が、今の自分。本当の――――自分のはずだった。 「私の幸せって何だろう。ラブと出会って、手にした幸せって何だろう?」 桃園圭太郎とあゆみの娘であること。蒼乃美希と山吹祈里の親友であること。クローバーの一人であること。 トリニティのリーダー、知念ミユキにダンスを教わったこと。四つ葉中学に通う生徒であること。 クローバータウンストリートの住人と仲良くなれたこと。 愛して、心配してくれる人々に囲まれて、笑顔で暮らせる毎日があること。 「それが――――私の幸せ? 私の――――?」 ゾッとするような恐怖に襲われる。自分の信じていたものが、自分の立っている世界そのものが、音を立てて崩れていく。 「何を……言っているの? それはラブの幸せじゃない! どれも、これも、全て――――ラブが持っていて、私にはなかったもの。 だから――――うらやましいと、思ったもの。そう――――ラブに伝えたもの……」 ハラハラと涙がせつなの頬を伝う。 「無かったんだ……。始めから、東せつなの幸せなんて――――」 「やっと、わかった……。私がうらやましいなんて言ったから、だからラブは―――― 私がドーナツを半分コしたみたいに、ラブは自分が持っている幸せを全部、惜しみなく私に半分くれたんだ……」 「何が――――自分の夢を探したいよ。何が――――みんなを笑顔と幸せで満たしたいよ」 自分の幸せ一つ見つけられない者が、夢を叶えるなんてできるはずがない。まして、他人を幸せにするなんて……。 冷たい地面と秋風が、せつなから体温を奪っていく。気にもならなかった。心はもっと冷え切っているのだから。 涙は流れるに任せた。借り物だらけの感情の中で、悲しみだけが唯一、自分のものと信じられる心の働きだったのだから―――― 新-211へ
https://w.atwiki.jp/fleshyuri/pages/388.html
あたしはせつなが好き。友達としてじゃなく。 となれば、まずは想いを伝えること、だよね。 今日こそはせつなに告白しよう、そう朝日に誓う。 由美の後押しもあったしね。 あたしがキッチンにつくと、あたしの席にだけ朝食が。 せつなの姿は見えない。 「お母さん、せつなは?」 「せっちゃんなら、先に学校へ行ったわよ。何でもクラスの用事とかで」 「ふーん、そうなんだ」 えー、あたしは聞いてないんですけど。 それなら、昨日言って欲しかったんですけど。 あたしは不貞腐れながら、お母さんに返事する。 「大体ラブ、あなたは・・・・せっちゃんを見習って・・・・」 せつながいないからって、説教しなくてもいいじゃん。 あたしは退屈な国語の授業で習得した奥儀「馬耳東風」で、 お母さんの説教を、右へ左へと流した。 せつなが先に学校に行ってしまったのなら仕方ない。 あたしは一人で登校する。 見慣れた通学途中の道。 あたしの目の前を横切る黒い影。 あ、あれは。 あたしの意識は瞬時に戦闘モードへと切り替わる。 あれは、あたしの永遠のライバル。 あちらもこっちに気づいたようだ。 睨み合う二つの影。 どちらも微動だにしない。 一瞬の隙が勝敗を決する、というのは両者とも承知の上。 あたしは必殺のねこパンーチをお見舞いするにゃーー。 「いくにゃーー」 「にゃ、にゃー」 お互い、前に跳躍する。 すれ違いざまにパンチを繰り出し、着地。 あたしの鼻には引っかき傷、奴は無傷。 ま、負けた・・・。また負けたにゃー。 35戦32敗3引き分け。 あたしは傷心のまま、学校へ。 「ラブ、一体、何やっていたの?」 「いやー、あたしの永遠のライバルが」 「ライバル?」 せつながかばんの中から絆創膏を取り出し、あたしの鼻の先に貼ってくれる。 「ありがとう、せつな」 ブッキーなみの準備のよさ。 せつな、いいお嫁さんになれるよ。 できれば、桃園家に・・・って、うちに住んでいるんだった。 「ラブ、何したのか分からないけど、女の子は顔に気をつけなくちゃ」 いや、男の子にもてたいとか思わないけど、 せつなには嫌われたくないし、呆れられたくないかな。 でも、今絶対呆れているでしょ。やれやれって顔してるし。 授業開始のチャイムが鳴り、せつなはあたしから離れていった。 やっぱり、学校では人目があるし、告白するのは無理かな?でも放課後なら大丈夫かな? だけど、今日はミユキさんのダンスレッスンがあるし、その帰り道でも・・・ 「ラブ、おい、ラブ」 大輔の声がする。あたしは作戦中だって。 「おい、ラブ」 だから、大輔、あたしは今忙しいんだって。 「ラブ」 せつなの声が聞こえる。 あたしはパブロフの犬が如き条件反射的で、せつなの方を向くと、 せつなは前の方を指差している。 「桃園、答えられないのか」 ええー、先生があたしに問題を当ててたーーー!! 「ごめんなさい、分かりません」 あたしが言うと、教室中が爆笑の渦。 みんな、そこ笑うところ? でも、あたしもわらっちゃお。あっはっは。 「誰か分かるやついるか?」 「はい」 せつなが手を挙げ、前へ出て行く。 あたしにはさっぱり分からない公式を、あっさり解いていくせつな。 さすが、せつな。惚れてまう・・・って、もう惚れていたんだった。 ようやく、長い授業が終わり、放課後に。 今日はミユキさんのダンスレッスンがあるから、せつなと一緒に・・。 と思うが、せつなはクラスメイトとおしゃべりをしたまま動かない。 「あの、せつな」 「あ、ラブ、ミユキさんと美希とブッキーによろしくね」 「よろしくねって、せつな、今日レッスン休むの?」 あたしの言葉を聞いて、せつなは不審そうな顔をする。 「だって、ラブ。昨日の夜、朝と放課後、クラス委員の手伝いがあるって言ったわよね?」 そういえば、そんなこと聞いた気もする。 でも、昨日の夜といえば、あたしはせつなにどう告白するか考えていて、 そんな重要な情報を聞き逃していたあたしって、一体。 あたしはがっくり肩を落としたまま、公園へと向かう。 「あ、でも、遅れるけど、行きますからってミユキさんにって、ラブ聞いてない」 というせつなの言葉は、あたしの耳には届かなかった・・・。 後から合流したせつなを加え、ミユキさんのダンスレッスンが再開する。 ダンスの途中、あたしとせつなの視線が合う。 あたしの視線を受け、にっこり微笑むせつな。 か、可愛い。し、幸せゲットだよ!! 「ラブちゃん、顔が変よ」 すかさず、ミユキさんの叱咤が。 「ラブちゃんの調子も悪いみたいだし、今日はここまで」 「ありがとうございました」 いつもなら、少しでも長くミユキさんのレッスンを受けたいと思うけど、今日は特別。 一緒に帰ろうと、せつなの方を見ると、ブッキーとなにやら話してる。 と思うと、せつながこっちにやって来て、 「ラブ、私はブッキーと図書館に本を返しに行くから、お夕飯、先食べてて。 それと、おじさまとおばさまに少し遅くなるけど、心配しないでって伝えて」 というなり、あたしの方も振り返らずブッキーの所へ。 なにやら、ブッキー嬉しそう?もしかして・・・ 「ハイハイ、アタシ達は先帰りましょ」 あたしは美希たんに引きずられていく。 せつなーーー。待ってーーー。 あたしの心の大声は、誰にも届かないようだった・・・。 了 その頃のせつなと祈里は・・・ 「せつなちゃん、いい顔してる」 「いい顔?」 「うん、何かふっきれたような感じ」 「ふっきれた・・・のかな?」 「せつなちゃん、自信の素を思い出して」 「ええ、今朝も精一杯、頑張ったわ。・・・・歯磨き」 「そうそう、その調子。せつなちゃんだったら大丈夫って、わたし信じてる」 といった会話が、せつなと祈里の間でなされていたとかいないとか。 7-8へ
https://w.atwiki.jp/fleshyuri/pages/1203.html
少女の寝ている部屋の窓が、スゥーっと音も無く開く。 夜の闇に紛れて忍び込んだのは、白いトリミングのある真っ赤な服を着て、先の尖った赤いキャップを被り、長い白髪と白いヒゲをたくわえた大男。 男は少女の寝ているベッドに近づく。ぶらさげてある、大きな大きな手作りの紙の靴下に手を伸ばそうとして―― その瞬間、ピシャリと窓のドアが閉められた。 「やはり、お前か。昼間は世話になった」 「……………………」 男は黙って少女のベッドの掛け布団を剥ぎ取る。人の姿に見えたのは、丸めた洋服で作られた人形だった。 カーテンの陰から現れた少女は、男の退路を断つかのように窓の前で身構える。 「気配が読めれば引っかからなかったはず。使い手かと思ったが、わたしの見込み違いだったか?」 「……………………」 「なんとか言ったらどうだ? 口が利けないわけではあるまい?」 「メリークリスマス」 「馬鹿にしているのかっ! まあ、いい。お前の正体を探る気はない。プレゼントも不要だ。ただ、一つだけ叶えてもらいたい願いがある」 「……………………」 「わたしを、生まれ故郷のラビリンスに帰してほしい。世界を渡る力があるなら、不可能ではないはずだ」 「……………………」 「できるのか? できないのか? 答えろっ! 返答によっては無事には帰さん!」 「……………………」 少女が凄むと、男は肩をすくめて担いだ大きな袋を投げ出した。そして、何かを取りだそうと手を差し入れる。 何らかの武器かもしれない。少女は警戒を強め、臨戦態勢に入る。 サンタクロースは、子供の欲しがるプレゼントを配る存在。願いを叶える者ではない。無理を通すためならば、一戦をも辞さない覚悟だった。 『たいへん! せつなが消えちゃった!? ~子供の頃のクリスマス~(結の章)』 「せつな! ううん、イース! 何かあったの? ここを開けて! 誰と喧嘩してるの!?」 その時、ドンドンと、少女の部屋のドアが叩かれる。ちょうど、男の立っている後ろ辺りからだった。 室内に入ろうと取っ手が回されるが、少女は部屋に鍵を掛けていた。伝承の通りなら、サンタクロースは煙突を通るはず。この家の場合、窓側から訪れると予想したためだった。 その呼びかけに反応するかのように、新たな足音が聞こえて来る。激しい勢いで階段を駆け上る男の足音。この家の主人の桃園圭太郎だろう。 「イースちゃん! 何かあったのか! 今、助けるからな!」 「よせっ! 来るなッ!」 少女の制止の声も聞かず、圭太郎らしき人物は扉に体当たりを仕掛ける。ドスン、ドスン、ドスンと部屋が揺れて、三回目にして扉の鍵が弾け飛んだ。 転がり込むように、部屋に飛び込んでくる圭太郎とラブ。圭太郎もまた、サンタクロースの格好をしていた。 もっとも、今はニセモノに構っている暇はなかった。 「あなた……誰?」 「お前は一体何者だ!? 僕の娘に何の用だ! 出ていけっ!」 「あなたっ! 泥棒なのっ?」 「……………………」 さらに、あゆみまでもが駆けつける。窓際に立つ少女と、部屋の真ん中に位置するサンタクロース。そして、ドアの前に立ちはだかる三人。 意図していたサンタクロースの捕獲には好都合だが、世話になった彼らを巻き込みたくはなかった。 面倒なことになったと、少女は顔をしかめる。 「お前たちこそ、なにを言っている? 服装といい、出現するタイミングといい、こいつがサンタクロースに間違いない。そちらこそ出て行け! わたしの願いの邪魔をするな!」 両側の出口を塞がれ、ようやく観念したのか、サンタクロースは重い口を開いた。 「ラビリンスか? 帰って何をする? もう、お前の求める者はそこには居ない」 「黙れっ! それを確かめるために、帰りたいのだ!」 「帰れば、二度とこの街には戻れない。それでも望むなら、連れて行ってやろう」 「構わな――」 「ダメよ! 行かせないわ! 絶対にっ!」 少女の声を遮って、あゆみが飛び出す。男を迂回して、少女の前に、まるで通せんぼするかのように立ちはだかった。 「どけ! これは――わたしが望んだことだ」 あゆみはイヤイヤをするように大きく首を振って、拒絶の意を表す。 「待って! あなた、隼人さんなんでしょ? どうしてこんな回りくどいことするの?」 ラブもたまらずに叫ぶ。せつなをラビリンスに連れて帰るのが目的なら、こんなことをしなくたって、子供に戻したりしなくたって―― 帰って来いと、ハッキリそう言えばせつなは拒まないはずだった。 「すまないが、連れて行かせるわけにはいかない。その子は、僕らの娘のせっちゃんだからね」 「そうよ、この子はわたしの娘、せっちゃんなんだから!」 ラブは驚きのあまり息を呑む。自分としては上手く誤魔化せているつもりだった。 「おとうさん……おかあさん……いつから気付いてたの?」 「最初にこの子を見た時からよ。いくら幼くなったからって、自分の娘を見間違えるものですか!」 「人間が動物と入れ替わったこともあったな。不思議な出来事には慣れてるよ。このくらいで驚きはしない!」 サンタクロースは三人には構わず、少女に対して語りかける。 「もう一度問おう。帰れば、もう二度とこの街には戻れない。それでも望むのか?」 「どうやって、わたしにそれを強制する気だ? 国に戻れば、お前の力を借りなくてもこの世界に来る手段などいくらでもある」 「簡単なことだ。この街に関する、お前の記憶を奪うだけのこと。さあ、どうする?」 「せつなっ!」 「「せっちゃん!!」」 「……一つだけ、聞かせてくれ。メビウス様は、本当にお亡くなりになられたのか?」 「ああ……最後は自爆だった。ラビリンスは今、この街のように自由で豊かな国を目指している。お前も――来るか?」 「――――行け。わたしは……ここに残る」 その返事を聞いて、サンタクロースは満足そうに頷いた。 「いい子だ、そんな子にはプレゼントをやらないとな。俺からは美味いドーナツ。そして、駄菓子屋の婆さんとサッカー少年からの贈り物だ。受け取れ!」 少女は、投げつけられた白い袋をキャッチする。そしてサンタクロースは、そのまま脇を通り過ぎて、窓の外に勢いよく身を投げ出した。 事情が呑み込めない圭太郎とあゆみは、ただ無事に済んだことを知って、腰が砕けてその場に座り込んでしまった。 少女はすぐに窓の外を覗いたが、サンタクロースの姿はどこにも見えなかった。 「もう、せつなでいいよね? 何をもらったの?」 「これは……」 それは、紙袋に入ったドーナツと、赤いオモチャの靴にたくさん詰められたお菓子と、新品のサッカーボールだった。 赤いブーツにはクリスマスカードが挟んであった。そしてサッカーボールには、マジックで直接メッセージが書き込まれていた。 「またおいで。今度はお茶くらい淹れてあげるよ」 「これあげる。みんなのお小遣いで買ったんだ。また遊ぼうね! イース」 少女はラブには答えず、靴に入ったお菓子と、サッカーボールを両手で抱きしめて震えだした。 ラブも黙って、そんな少女を抱き寄せた。 少し経って、落ち着いた圭太郎とあゆみも、少女の側までやってくる。 圭太郎は、背中に担いだ大きな白い袋から、綺麗に包装された箱を取り出した。 「本当は、サンタクロースに成りすまして渡したかったんだけどな」 「これは?」 「わたしたちからの、せっちゃんへのクリスマスプレゼントよ」 少女は丁寧に包装紙を剥がし、箱の中身を取り出す。 それは、ウサギに似た格好のヌイグルミだった。 「あ~っ! これってウサピョンの!」 「ええ、そうよ。昔、ラブが好きだったヌイグルミの、仲良しの姉妹ね」 「もうじき高校生のせっちゃんに、ヌイグルミはどうかと思ったんだが……。今だからこそ、持っていてもらいたかったんだ」 楽しく過ごせなかったせつなの幼少期の思い出を、少しでも取り戻してあげたい。それは――そんな圭太郎とあゆみの願いだった。 「もし……違っていたら? わたしは本当に違う子供で、おじさまたちの知る、せつなじゃなかったとしたら?」 震える声で、少女は恐る恐る尋ねる。もう、自分が幼児化したせつなであることは受け入れていた。 だけど、もし違っていたら? 何かの間違いであったなら? こうして向けられる愛情も、全て失ってしまうかもしれないと。 「それなら心配いらない」 「その時はね、家に三人目の娘ができるだけよ」 一瞬の迷いも躊躇いもなく、少女に返される愛ある言葉。それが最後だった―― どんなに強がったところで、彼女は幼い子供だった。ついに我慢の限界を超えたのか、涙が堰を切ったように流れだす。 「――ッ……ぁぁああ!!」 まるで叫ぶように、少女はあゆみにしがみ付いて泣いた。 身体を大きく震わせて、大粒の涙をこぼしながら、わんわんと大声を上げながら……。 せつなの涙なら、ここにいる全員が見たことがあった。 だけどこんな風に、何もかもかなぐり捨てて泣く姿を――三人は初めて目にしたのだった。 それからしばらくして、あゆみがラブに問いかける。 「それで、せっちゃんは元に戻らないの? ずっとこのままってことは……」 「えっと、あの、あたしもよくわからなくて……。今まではナケワメーケを倒したら元に戻ったけど、今回はそうじゃないし……」 「それなら、心配いらない」 「戻れるのかい? せっちゃん」 「ラビリンスの科学技術でも、人間を若返らせる力はない。時間が経てば、効果は切れると思う」 「そう、なら良かった」 「良くないっ!」 安堵のため息を付く三人に、少女が反発の声を上げた。 「わたしは、せつなだった記憶を持っていない。元に戻ったら、その記憶は戻るかもしれないけど――」 「そっか……。今のせつなの記憶は、なくなっちゃうかもしれないんだね」 たった一日。だけど、大切な一日だった。身体を小さくして震える少女を前に、ラブとあゆみは困った表情で顔を見合わせる。 そんな中、圭太郎が少女の肩に手を置いて語りかけた。 「これは、ラブには話したことがあるんだが、どうして僕がこんな格好をしているかわかるかい?」 「サンタクロースの……真似?」 今の男が何者だったのかは知らないが、サンタクロースではないだろう。あれは伝承の人物であり、実際に会うことは叶わないもの。 圭太郎はそれを説明する。それでも、大人がサンタクロースに成りすますのは―― 「子供に夢を持って欲しいからだよ。そして、夢と愛を信じて育って、それを広げていける優しい大人になってほしいからだ」 「だったら、それを知らずに育ったわたしは……優しい大人ではなかった?」 「優しかったさ」 「本当よ。せっちゃんは優しい子。それこそ、ラブにだって負けないくらいに」 圭太郎とあゆみは、交互に話して聞かせる。せっちゃんがどんなに良い子だったのか。自分たちが、どれほどその子を愛していたのかを。そして、今のせっちゃんも同じくらい良い子なんだって。 プレゼントをもらって、はしゃいで喜ぶ子はいても、泣いて喜んでくれる子は滅多にいない。 幸せと不幸は隣り合わせで、きっと夢や幸せを知らずに育った子だって、その痛みと寂しさを知っているから、負けないくらい優しい大人になれるはずだって。 「ウソだッ! だったら、サンタクロースなんて――いらない……」 「それでも親はね、子供には泣き顔じゃなくて、いつも笑顔でいてほしいからよ。いつか、幸せになれるとしてもね」 「わたしは――せつなに戻りたくない! 今の自分が無くなってしまうのが怖い! この気持ちを、失ってしまうのが怖い……」 駄々を捏ねたところで、ここに居る者たちにそれを叶える力は無い。それがわかっていながら、少女はワガママを言わずにはいられなかった。 いつも自分の気持ちを抑えてしまう、控え目な娘の精一杯の訴えが愛おしくて、あゆみは少女を抱く腕に力を込める。 「大丈夫よ。もし忘れてしまったとしても、今のあなたの気持ちは心のどこかに残っていて、せっちゃんをよりステキな子にしてくれるから」 「それに、僕たちは今のせっちゃんを決して忘れない」 「あたしたちが、聞かせてあげる。ちっちゃくたって、せつなはやっぱり優しくて、一生懸命で、精一杯がんばっていたって」 再び、少女は号泣する。あゆみは、泣きじゃくる少女を自分の寝室に連れて帰った。 今夜はこの子を一人にはしておけないからと。今夜しか、子供のせっちゃんの側に居られないかもしれないからって。 少女は生まれて初めて、母親に抱かれて眠るぬくもりを知った。寝るのが惜しかったはずなのに――すぐに深い眠りに落ちていった。 朝日が――昇る。 せつなは隣で眠るあゆみより、一足早く目を覚ました。 ちょうどいいサイズになったパジャマ。そこから伸びる、白くて美しいスラリとした手足。 その姿は、本来のせつなの身体だった。 「ありがとう、おかあさん。おとうさん。ラブ。そして――みんな」 せつなは、すぐ側に置いてあったサッカーボールと、お菓子の入った赤いブーツと、抱いて寝ていたヌイグルミを持って、そっと部屋を出た。 クリスマス当日の、カオルちゃんのドーナツカフェ。夕方に始まるクリスマスパーティーの最終打ち合わせに余念がないラブと、美希と祈里。 「って! 肝心のせつなが居ないじゃない!」 「あそこだよ、美希たん」 ラブが指差したのは、少し先の広場でサッカーをして遊ぶ六人の子供たちだった。 その内の一人は中学生の女の子らしく、小学生の男の子を相手に、指導を交えながら楽しそうに遊んでいた。 「今のって、まさかヒールキック!?」「姉ちゃんスゲー!」「俺にも教えてくれよ!」といった、子供たちの楽しそうな声がこちらにまで響いてきていた。 「あれって、せつなちゃん? どうしてサッカーなんて」 「色々あったんだよ」 ラブは昨日起きた出来事を、美希と祈里に詳しく話して聞かせた。 結局、せつなは幼くなっていた時の記憶を失わなかったらしい。先ほど、駄菓子屋さんも覗いて、お手伝いの約束をしたのだとか。 「そうだったの。あーでも、ラブったらズルイ! アタシも小さなせつな、見たかったなぁ」 「ごめーん。だって、呼べる雰囲気じゃなかったんだもん」 「ねえ、ラブちゃん。昨日の赤いお鼻のトナカイさんの話なんだけど、調べてみたら、実は続きがあったの」 「仲間外れにされたって話?」 「うん、最初はそうだったんだけど。サンタクロースのお手伝いをして、みんなを幸せにしたトナカイさんは、仲間に認められて幸せに暮らせるようになったんだって」 「そっか。でも、もう大丈夫だよ! せつなには、そのお話をしなくても」 「そうみたいね。今のせつなの表情は、トナカイの赤い鼻より明るいもの」 美希が冗談交じりにそう言って、三人は楽しそうに笑った。 「さあ、せつなのためにも、今夜は完璧なパーティーにするわよ」 「うん。きっと楽しんでくれるって、わたし信じてる」 「幸せ、ゲットだよ。せつな」 そんな一人と三人の少女を、さらに木陰から見守る者がいた。 「メリークリスマス、イース」 サンタクロースの衣装を纏った男は、そうつぶやいて、ゆっくりと立ち去った。
https://w.atwiki.jp/fleshyuri/pages/861.html
レス番号 作品名 作者 補足 3-232 「堕天使の罠」 黒ブキ◆lg0Ts41PPY 18禁 祈里の闇の部分 全てはココからスタートする。シリーズ第一作 3-268 「暗闇の入り口」 黒ブキ◆lg0Ts41PPY せつなが目覚め、黒き妖精が微笑する… 3-232続き 3-400 「心の距離」 黒ブキ◆lg0Ts41PPY ラブが異変に気付き・・・ 3-268続き 3-456 「情事」 黒ブキ◆lg0Ts41PPY ラブの決意。そして美希が・・・ 3-400続き 3-524 「胸にある答え」 黒ブキ◆lg0Ts41PPY 常識人・美希の登場で事は意外な方向へ… 3-456続き 3-595 「君を離れ」 黒ブキ◆lg0Ts41PPY せつなの決意に祈里は!? 3-524続き 3-644 「祈り」 黒ブキ◆lg0Ts41PPY 祈里の切ない感情とせつなの祈りが交錯する 3-595続き 4-33 「ただ、好きだから」 黒ブキ◆lg0Ts41PPY 遂に過労でダウンしてしまうせつな。その姿を見たラブは… 3-644続き 4-405 「心まで抱き締めて」 黒ブキ◆lg0Ts41PPY 今、せつなに足りない物とは?ラブの優しさはせつなの心に届くのか!?4-33続き 4-590 「目隠しの気持ち」 黒ブキ◆lg0Ts41PPY 自分を責めるラブ。誰も責めなかったせつな。もう一度、二人の運命を思い起こす。4-405続き 5-72 「水底の罪人」 黒ブキ◆lg0Ts41PPY 罪の意識。償い。許してはもらえないだろう…。そして、祈里の犯してしまった過ちを知る美希は…。4-590続き 5-351 「動き出した時間」 黒ブキ◆lg0Ts41PPY 何も出来なかった。過信していた自分を嘆く美希。そう…、アタシたちが3人のままだったら…。5-72続き 6-126 「前を見詰めて」 黒ブキ◆lg0Ts41PPY そして訪れる禁断の接触。お互い、覚悟はしていた…。二人の駆け引きの行方は!?5-351続き 6-223 「初夜」 黒ブキ◆lg0Ts41PPY 18禁 相手の気持ちを重んじるがために苦悩するラブ。禁欲生活にもいよいよ終止符が打たれる。まさに〝解禁〟6-126続き 6-659 「傷痕と道標」 黒ブキ◆lg0Ts41PPY 18禁 私にしか出来ない事。いつも明るい笑顔で接してくれてた祈里へ戻ってもらうために。せつな視点と祈里視点で描く最終章。暗闇に光は届くのか…6-223続き 6-703 「エピローグ 一緒に歩いてゆく」 黒ブキ◆lg0Ts41PPY 笑顔。絆。四人は再び歩き始める。―――君と願い叶えるために―――6-659続き み-90 「弱き者の祈り」 黒ブキ◆lg0Ts41PPY もう一つの影。それは幻影か現実か。あの時、あの場所で何が。わからない。ただ、目の前にいたのは紛れも無い卑猥な姿をした貴方で。 み-100 「罪の残滓」 黒ブキ◆lg0Ts41PPY 毒された自分を悔やみ、憎しみ、見失う。それでも現実は待ってくれない。元のまま。そう、四人でなら…耐えられる。一人ではもう貴方を見る事が… み-131 「薄闇」 黒ブキ◆lg0Ts41PPY 暗闇では無く。が、光が射す訳でも無く。絆は砕かれてしまったのか?巡るめく葛藤が物語を加速させていく。 み-151 「許されなくても」 黒ブキ◆lg0Ts41PPY 18禁 同じ思いを。蜜の味を知ってる者と奪った者との交差。襲われる嫌悪感に祈里は暗闇へと沈み込む。友達・ラブの真意とは… み-217 「涙」 黒ブキ◆lg0Ts41PPY 消えかかる蒼き炎。誰よりも輪を尊重し、誰よりも相手の心を重んじた。なのに。裏切りの行為の答えは美希の〝涙〟 み-305 「胸から零れた罪の破片」 黒ブキ◆lg0Ts41PPY 痛みはどこに伝わったのか。彼女たちの心に変化をもたらせた親友の一手。もう一度、開放する心の扉。蘇る優しい彼女たちがそこには。 み-362 「閉じた世界から」 黒ブキ◆lg0Ts41PPY そこにいたのは美希であって美希じゃない。一人になって気付く寂しさ、孤独。今まで何だったのと自問自答すらして。そして見付けるきっかけはやはりあの子の存在で。 み-464 「幻想の楽園」 黒ブキ◆lg0Ts41PPY それぞれが進んで来た道。様々な経緯の元、辿り着いたのは何処だったのか。光明が少しでも差し込んでいるのか。心に届け、優しき友の言葉よ――― み-574 「すべてを包む空」 黒ブキ◆lg0Ts41PPY 真っ赤なハート。それは今を生きている証拠。行って来ます・ただいま・おかえり。それは逃げなかったから得た宝物。みんなでもう一度――― み-685 「神様の名前」 黒ブキ◆lg0Ts41PPY 言霊。人間がもたらされた幸せの一つが話す事。会話をする事で沢山の事を学び、考える。今の喜びとは何か?あなたに差す光の使者は誰ゆえか。 新-463 「あなたの中のわたし」 黒ブキ◆lg0Ts41PPY 月を嫌うものはいない。だけど、月を最愛のものと考える人はいるだろうか? 自分の形がわからなくなった美希に、せつなが出す答えとは? 新-493 「月の裏側」 黒ブキ◆lg0Ts41PPY 完璧でありたい。そう願い続けた少女が身に纏った、いくつもの衣装。でも、せつなが見ていたのは、本人すら忘れてしまった、ありのままの美希だった。 新-925 「赤い糸の先」 黒ブキ◆lg0Ts41PPY 小さな罪を犯し、祈里の堕ちた、薄闇の水底に降り立ったラブ。互いを知ることで、取り戻した素直な心。振り切れない苦悩なら、抱えて進もう。共に愛した少女が、今も続けているように。
https://w.atwiki.jp/fleshyuri/pages/934.html
レス番号 作品名 作者 補足 避2-492 『かれんだーぼいす(1月1日~10日分)』 夏希◆JIBDaXNP.g かれんだーぼいすから広がる二次創作小ネタ!クローバーの物語はまだまだ続くよ! 避2-532 『かれんだーぼいす(1月11日~20日分)』 夏希◆JIBDaXNP.g 二回目、十日分の更新です。いろんなキャラクターが出ますよ。オールスターですw 避2-545 『かれんだーぼいす(1月21日~31日分)』 夏希◆JIBDaXNP.g 今月分終了なんか…そんな殺生なっ!わての出番あるからみんな読んでや~(タルト 避2-573 『かれんだーぼいす(2月1日~10日分)』 夏希◆JIBDaXNP.g 鬼は外ー!!!二月は我々もはしゃぐのだー!あったかい話が待ってるぞー!(西隼人 避2-591 『かれんだーぼいす(2月11日~20日分)』 夏希◆JIBDaXNP.g おじさん器用だからさ、何でも出来ちゃうんだよねっグハ!バレンタインデーもあるよん(カオル 避2-631 『かれんだーぼいす(2月21日~28日分)』 夏希◆JIBDaXNP.g アタシのキャラって最近崩れてるわよね。け、計算よ!誰がいじられキャ…(美希 避2-635 『かれんだーぼいす(3月1日~10日分)』 夏希◆JIBDaXNP.g 春が近づいてきたよー!あたしのラッキカラーはピンク!読めばほっくほくの幸せゲットだよっ(ラブ 避2-648 『かれんだーぼいす(3月11日~20日分)』 夏希◆JIBDaXNP.g 色々慣れてきたんですけど。私の周りって妙に騒がしいと言うか…。嫌いじゃないですけど(せつな 避2-662 『かれんだーぼいす(3月21日~31日分)』 夏希◆JIBDaXNP.g みんなかわいい!ここに出てくる人たちってみんなかわいい。これだけ言ってるんだから、読んでくれるってわたし信じてる(祈里 避2-676 『かれんだーぼいす(4月1日~10日分)』 夏希◆JIBDaXNP.g (4月9日)祈里のつぶやき。でも、いつか美希ちゃんは世界のトップモデルになるって、わたしたちみんな、信じてる! 避2-688 『かれんだーぼいす(4月11日~20日分)』 夏希◆JIBDaXNP.g (4月19日)あゆみ「二人とも~。口ばっかりじゃなくて、言ったからにはちゃんと作りなさい!」ラ・せ「ええ~!!」 避2-706 『かれんだーぼいす(4月21日~30日分)』 夏希◆JIBDaXNP.g (4月22日)ラブのつぶやき。いつも美希たんばっかりいじってるせつなって、実はシフォンと似てるのかな? 避2-710 『かれんだーぼいす(5月1日~10日分)』 夏希◆JIBDaXNP.g (5月6日)せつなのつぶやき。タルト!いくらスイーツ王国の王子だからって、人のスイーツ勝手に食べたら許さないわよ。私はそんなに甘くないんだから! 避2-724 『かれんだーぼいす(5月11日~20日分)』 夏希◆JIBDaXNP.g (5月16日)タルト「そもそも、オープニングの大半を爆走している主人公って、ピーチはんだけやで。」ラブ「好きでやってるんじゃないよ~!」 新-003 『かれんだーぼいす(5月21日~31日分)』 夏希◆JIBDaXNP.g (5月23日)美希のつぶやき。ラブ、笑顔でブルンにお礼言わないでよ。ブッキー、涙目になるんじゃないの。せつなっ!なんで笑ってるのよっ! 新-059 『かれんだーぼいす(6月1日~10日分)』 夏希◆JIBDaXNP.g (6月3日)祈里のつぶやき。ラブちゃん、身長は負けてないけど、勝ってもいないと思う…。 新-075 『かれんだーぼいす(6月11日~20日分)』 夏希◆JIBDaXNP.g (6月19日)尚子のつぶやき。はぁ~。お父さんにダイエットしてだなんて、無理な相談ね…。 新-129 『かれんだーぼいす(6月21日~30日分)』 夏希◆JIBDaXNP.g (6月25日)カオルちゃんのつぶやき。おかげでオジサン、財布の中身にはすぐにバイバイしちゃうんだけどね…ぐはっ! 新-151 『かれんだーぼいす(7月1日~10日分)』 夏希◆JIBDaXNP.g (7月7日)祈里「せつなちゃん。短冊って、結ぶんじゃなくて、吊るすのよ。おみくじじゃないんだから。」ラブ「ひょっとして…見られたくないようなこと書いたの?せつな。」 新-204 『かれんだーぼいす(7月11日~20日分)』 夏希◆JIBDaXNP.g (7月16日)祈里のつぶやき。ラブちゃん、せつなちゃん…その分じゃ、アイス、すぐに溶けちゃうと思うんだけど…。 新-206 『かれんだーぼいす(7月21日~31日分)』 夏希◆JIBDaXNP.g (7月30日)ラブのつぶやき。大丈夫だよっ!今日描いた朝顔だって、きっと5年後、10年後には、すっごく大切な「あの頃の思い出」だよ。 新-269 『かれんだーぼいす(8月1日~10日分)』 夏希◆JIBDaXNP.g (8月10日)カオルちゃんのつぶやき。オジサン、弱点と逆転には強いんだよねぇ。バク転は出来ないけど~。グハッ! 新-286 『かれんだーぼいす(8月11日~20日分)』 夏希◆JIBDaXNP.g (8月12日)ウエスター参上!鍛えろ鍛えろー!!夏は汗流してとにかく暴れるんだー!!!勉強が何だってんだぁ~ 新-292 『かれんだーぼいす(8月21日~31日分)』 夏希◆JIBDaXNP.g (8月31日)サウラーのつぶやき。フッ、気が合わないね。僕にとっては、君が抜かした秋こそが、楽しい秋なんだが・・・。まぁ、カオルちゃんの秋限定ドーナツが美味しいことは、僕も認めるよ。 新-323 『かれんだーぼいす(9月1日~10日分)』 夏希◆JIBDaXNP.g (9月6日)食いしんぼのつぶやき。タルト「まだあるで~カオルはんのマロンドーナツが登場したら秋や!」ラブ「あとあと、果物屋さんに梨が並んだら」美希「もうこの二人は放っときましょ」 新-361 『かれんだーぼいす(9月11日~20日分)』 夏希◆JIBDaXNP.g (9月13日)ウエスター「昔から頑張ってたが、それを口に出すイースじゃなかったな」サウラー「ある意味、自分の限界を示す言葉だしね。それが言える程いい仲間に出会えたって事かな」ウエスター「…ちょっと悔しいな」 新-386 『かれんだーぼいす(9月21日~30日分)』 夏希◆JIBDaXNP.g (9月27日)タルトのつぶやき。大丈夫や、ベリーはん。わいなんて、まだ一度もシフォンに名前呼んでもろてないんやで。シフォンにとっては空気のように、居るのが当たり前の存在だからやと、自分を慰めてるわ…ううっ! 新-441 『かれんだーぼいす(10月1日~10日分)』 夏希◆JIBDaXNP.g (10月2日)美希のつぶやき。ちょっと待って。白雪姫は、王子様のキスで目覚めるのよね…。ヤダ、ブッキーったら。と、特別出演なんて、しないからね! 新-477 『かれんだーぼいす(10月11日~20日分)』 夏希◆JIBDaXNP.g (10月16日)ラブのつぶやき。うん!今だって、せつなの作るコロッケは、お母さんとおんなじ味だよ! 新-506 『かれんだーぼいす(10月21日~31日分)』 夏希◆JIBDaXNP.g (10月31日)美希のつぶやき。うーん、何だか今年はものすごい量のお菓子が集まったんだけど・・・。もしかして、同情されたのかしら。 新-540 『かれんだーぼいす(11月1日~10日分)』 夏希◆JIBDaXNP.g (11月1日)長老と美希のつぶやき。「お前がわからんことだらけなんとちゃうか?タルト。お〜、マドモワゼル!キミの瞳こそ神秘の泉や〜」「やっぱりこの長老にして、この王子ありよね・・・」 新-575 『かれんだーぼいす(11月11日~20日分)』 夏希◆JIBDaXNP.g (11月19日)あゆみと圭太郎のつぶやき。「お父さん?どうして廊下でうろうろしてるの?」「いやぁ…今僕らが入ると、部屋の中のあったかい空気が逃げちゃわないか、心配でね」 新-597 『かれんだーぼいす(11月21日~30日分)』 夏希◆JIBDaXNP.g (11月27日)タルトとラブのつぶやき。「ピーチはん、ワイも手伝うわ。味見要員ってことで、どないやろか?」「タルト~。クッキーは焼き上がるまで、味見出来ないんだってば」 新-614 『かれんだーぼいす(12月1日~10日分)』 夏希◆JIBDaXNP.g (12月8日)祈里とタルトのつぶやき。「はい。タルトちゃんも、シフォンちゃん抱っこしてみる?」「あ…ワイ、抱っこされる方やのうて、する方に入っとるん?それも複雑やな…」 新-621 『かれんだーぼいす(12月11日~20日分)』 夏希◆JIBDaXNP.g (12月18日)ミユキのつぶやき。雲の上なんかじゃないわ。自分の力で一歩一歩階段を上った先にあるのが、本気の幸せよ。私たちもまだその途中。一緒に上るわよっ! 新-742 『かれんだーぼいす(12月21日~31日分)』 夏希◆JIBDaXNP.g (12月30日)せつなのつぶやき。良いこと悪いことっていうのは後からわかるんだろうけど、楽しいことや嬉しいことも、悲しいことや辛いことも、みんなで一緒に、精一杯がんばって進みたいわ。
https://w.atwiki.jp/fleshyuri/pages/1095.html
――クリスマスは、家族みんなでケーキを食べてお祝いするの。そして寝ている間に、サンタさんがプレゼントを持ってきてくれるんだよっ! ――大切な人と一緒にパーティーをしたり、プレゼントを贈り合ったりして、素敵な時間を過ごす日よ。 ――本来は、西洋の神様の誕生日なの。わたしたち人間のために、神様が人間の赤ちゃんになって、この世界に降りて来た日なんだって。 クリスマス。 この世界では、冬の時期の・・・いや、一年を通じても、 とても大きなイベントに当たる日。 でも、いったいどういうイベントなのか、何度聞いてもよくわからない。 図書館の本で調べてみても、結果は同じ。 ラブと美希とブッキーの説明は、バラバラなのにどれも間違いではないらしい。 そのことに驚きつつ、私は途方に暮れてしまった。 みんなでケーキを食べるのは楽しいけど、 サンタさんを信じているのは小さな子供だけの特権。 大切な人とパーティーをするのは素敵なことだけど、 普段の晩御飯だって、十分に素敵な時間だ。 ましてや西洋の神様の誕生日だなんて言われても、 私には全くピンと来ない・・・。 「何かクリスマスのことで、心配事でもあるの?せっちゃん。」 お母さんにそう訊かれたのは、テレビのローカルニュースを見ていたとき。 色とりどりのイルミネーションを、紹介する短い番組。 赤い服を着たリポーターの、嬉しそうな顔と裏腹に、 思わずため息をついた私の顔を、お母さんが覗きこんだ。 クリスマスって、どんな日なのかよくわからない。 そう言う私に、お母さんは何のためらいも無く、こう答えた。 誰かに愛されていること。 誰かを愛していること。 それを改めて思い起こして、相手に伝える日がクリスマスよ。 サンタさんがプレゼントを配るのは、 あなたは愛されているよって、子供たちに伝えたいから。 大切な人とプレゼントを贈り合うのは、 ささやかでも、気持ちを形で表したいから。 神様が、弱い人間の姿でこの世に現れたのをお祝いするのは、 人がそれだけ神様に愛されていることを、感謝するため。 形はそれぞれ違うけど、込められた気持ちは皆同じ。 だからクリスマスは、とっても暖かくて、嬉しくて、幸せなのよ。 今日はクリスマス。 この世界に住まう、私を愛してくれるたくさんの人々に想いを込めて こんな私でも、人を愛する気持ちを知ることが出来たことに感謝して 大切な人たちと一緒に、この幸せなときを過ごそう。 世界中の人々が、幸せになれますように。 世界中の人々が、誰かを幸せにできますように。 聖なる夜に、心からの祈りを。 メリー・クリスマス!